大船渡高校の佐々木投手を投げさせたかった、甲子園で見たかったという意見は、俺たち世代ではその声の方が多いだろうな。だからダメなんだよと罵られる声も多いだろうな(苦笑)。何事においてもかばってかばって、それでもかばおうとするのが現代なんだと、そんな解釈をするしかない旧人類な僕だ。将来の活躍と、一生に一度の仲間との夏を天秤にかけたら、きっと本人はほぼ後者を選んでしまうだろう。だからこそ指導者がしっかりしなければならないとの理屈はわからんでもないが、そこに野球が、そして甲子園大会がある限り一件落着は無理だ。僕の心もまったく落着せずにムカついたままである。
と、そんなおっさんの愚痴はさておき、僕の甥っ子の夏が先日終わった。うちは1人っ子で少子化に加担してしまったダメな夫婦だが、その分弟は3人を育てた。しかも全部男の子で、そろそろ回収(!?)に入れるだろうたくましく育った。
何かスポーツをさせたいと弟は、本人はあまり得意でなかった野球を教えた。夫婦ともに体が大きく、その血を受け継いだ長身が優位に働き、そこそこの青春時代を過ごした。次男は、兄貴よりも高いレベルの野球教育を受けて、名門高校にスカウトさせそのチームの控えのエースになった。しかもキャプテンまで務めたのだ。三男坊は、さらに高い野球教育をダブルで受け、埼玉の野球名門校に入り、今年背番号に1番を付けた。これに僕の夢がグーンと広がった。仕事がどんなことになっていようと甲子園に乗り込むぞと。激戦区の埼玉にも関わらずそう信じたが、3回戦で負けてしまった。満塁本塁打を2発くらっての9失点で降板したのだった。
小学校の頃からずっとずっと努力してきた。それでも叶わない夢だったのだ。彼のこれまで費やした膨大な時間を考えると、悔しくて苦しくて。そして彼の心の傷が心配だったが、弟によると大丈夫だとのこと。いやいや、さぞかし悔しくつらい涙を流したことだろう。かの佐々木投手の負けた日には、胸の内やいかにとついつい考えて比較してしまった。9点失って負けてしまったが、甥っ子の方がさっぱりと受け入れられる日は近かろうと。