いきなり脱線ゲームだが、アマゾンのカスタマーレビューに“酒を飲みながらページをめくり昔を思い出すのは最高の一時でもある”と、締めてくださった方がいた。うれしい。電車で雑誌を読む人が絶滅危惧種になった昨今である。雑誌という存在はかつてと大きく異なり、贅沢品になったのだと僕はそうとらえて作っている。贅沢品だからゆえ買う雑誌は吟味を重ねて絞り込み、読むシチュエーションをそれぞれに考えて楽しむのだ。そんなシチュエーションの中でも、酒を飲みながらというのは僕が想定する中で最高レベルであり、自分にとってもひとりで飲みながら雑誌や音楽を楽しむ時間は至福だ。『昭和40年男』をそうやって楽しんでくださった方がいたということで、今日は朝からテンションが高い。
さて、本題だ。発売から1週間以上が過ぎた今日も、しつこく大編集後記を綴らせてもらおう。連載企画の『追憶のボール』では、阪急ブレーブスの長池選手にご登場いただいたのだ、パチパチ。
俺たち世代にとって野球は大きな関心ごとだった。教室での話題も、ドリフ・プロレス・野球が三冠王で、それぞれに中心があった。志村けんと加藤茶。アントニオ猪木。そしてもちろんジャイアンツである。俺たちはいわゆる巨人・大鵬・卵焼き世代ではないがやはりジャイアンツの存在は絶対的で、あまのじゃくな僕はそのせいでアンチになってしまった。
当時、強いジャイアンツと日本一をかけて戦う常連が、阪急ブレーブスだった。仮面ライダーカードに続いて投資したプロ野球カードでは、僕は阪神と阪急のものを大切にした。そして阪急の選手で僕の心を震わせたのは、福本選手と山口選手、そして今回登場くださった長池選手だ。
それにしてもこの3人を並べるだけで、当時と今の野球の違いが明確に見える。このお三方はとんがった武器を磨きに磨いて大活躍した。俊足、速球、ホームランである。とかくバランスが重視される現代野球に対して、野武士の集まりのようだった当時はまるでアパッチ野球軍である(チッョット失礼だな)。今回のインタビューで長池氏の最高のセリフが、現役当時を振り返って言った「狙うのは内角高めのストレートだけ」だ。うーむ、なんとかっこいいのだろう。そのセリフが出てくる、ご覧いただいている次のページに掲載された氏の近況写真の目がまたいい。男だったらきっと惚れ込んでしまう。若き日を、前述のセリフで生きた男が到達する顔なんだろうと、しばし見とれてしまった僕だ。必見ですぞ。週末の一杯を贅沢にするvol.56は、なうおんせーるっ!! ぜひ、手に取って吟味くだされっ!!