ブログ特別不定期連載記事「懐かしの名盤ジャンジャカジャーン」である。音楽と密接に生きてきた昭和40年男にとっての名盤を、僕の独断でセレクトしていこうというもので、 今回はクイーンでずいぶんと引っ張ってきて5回目である。いよいよ僕が選ぶベストアルバムの発表です。ジャン。『クイーン2』(’74) 。おーっ、そうきたか。
A面がホワイトサイド、B面がブラックサイドになっているコンセプトアルバムで、レコード時代を象徴する手法である。CDではホワイトサイドのラストからブラックサイドへの曲間が長めになっているが、やはりA面を聴いた余韻を楽しみながら、よっこらしょと引っくり返してジジジとノイズからB面が始まることが風情ですな。こうしたコンセプトアルバムでなくても、レコード時代はA面ラストとB面の頭って構成する上で重要だった。そう考えるミュージシャンは多いはずで、クイーンは特によく考えて作っていたと思う。『オペラ座の夜』(’75) でB面の頭に「なうまんぞう」…じゃなかった、「予言者の歌」ってのは、この場所しか考えられないもの。もっというとCD時代にこの曲を作ったら、少しシンプルな構成になっていたかもしれない。あの名曲はB面の頭という、レコード時代だから存在した貴重な場所の恩恵で生まれたのである。
レコード一枚にまとめ込んでのこの白対黒の対決はあっぱれで、そのままギタリストのブライアン・メイとヴォーカルのフレディ・マーキュリーのソングライター対決になっているのがおもしろい。ブライアンはロジャーの力を借りて(1曲提供してヴォーカル担当)までして善戦しているものの、フレディの完全勝利である。このブラックサイドの、おもちゃ箱を引っくり返したかのような大騒ぎは尋常でない。2曲目の「フェアリー・フェラーの神技」はまさに神業とも言えるソングライティングだ。あれだけの要素を3分以内の曲にまとめ込んでしまうあたりが、後に「ボヘミアン・ラプソディ」を完成させる片鱗を、見せていたということだ。それは続けて収録されている「ネヴァー・モア」で確信する。この2曲を足して4分内というのは、どんな表現力なんじゃと感嘆させられ続けた。続けての「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」は、時間こそ長いがメロディ・構成ともにすばらしく、フレディの非凡な才能をこれでもかっ!! と見せつけられる。幼い頃の僕は、この曲でロジャーに一部歌わせているのは、ホワイトサイドで1曲入れたブライアンとのバランスを取ってすり寄ったものだろうと、勝手な解釈をしていた。この2〜4曲目までのメドレーはいつもエキサイトしたものだ。僕にとっては3曲ともそのままクイーンの楽曲ベスト10に入るが、これはメドレーになっていることで何十倍もの魅力になっている。おっと、ホワイトサイドだってすばらしいよ。オープニングのギターオーケストラによる「プロセッション」はブライアンでなければ生まれない演奏ですばらしい。3曲目に収録された「ホワイト・クイーン」のメロディも涙ものだ。B面に比べるとどうしても見劣りするけど、完成度は十分に高く、そうでなければベストアルバムに選ばないよ。
フレディ・マーキュリーって45歳で亡くなったんだね。ふーっ、偉大な中年だったわけだ。すごいことは今の僕らとほぼ同年代で『イニュエンドウ』(’91) を創り上げていくテンションがあったことだ。学ばないとね。
長いことクイーンについて語ってきましたが、ファンのみなさん、いかがでしたか? みなさんのベストアルバムを聞かせていただければ幸いです。
(了)
前回 → (4/5)
→【懐かしの名盤】ロッド・スチュワート『Every Picture Tells A Story』(1/6)