僕は呑み屋を探すのにネットをあてにしない。店のツラの好みでのれんをくぐることにしていて、特に出張時なんかはスリリングで楽しい。知人からの声は信用するのに、ネットを信じないのは典型的な昭和のおっさんだな。
最近、僕の選ぶ店に1つの大きな特徴があることに気がついた。灰皿だ。「よーしここだ」と入る店のほとんどが喫煙可である。僕はカッコ悪いことに禁煙したヤツだから、禁煙の店の方が好ましいのだが稀にしか出くわすことがない。先日、石川さゆりさんのコンサート終了後に初めてぶらついた錦糸町で見つけたこのツラの店もテーブルには堂々と灰皿があった。
昨今、社会のタバコ弾圧は凄まじく、そもそもこれが大嫌いな僕だ。もう少し寛容でいいんでないのと思うことばかりだ。よくよく考えるとタバコだけでない。ハラスメントもしかり、愛のムチなどと言おうものなら炎上騒ぎが巻き起こり、トゲトゲしいったらありゃしない。情報バラエティ番組はこれらの弾圧で視聴者の溜飲を下げて率を稼ぐ。政治家たちへの批判もそうで、視聴率至上主義による情報ミスリードに目を覆う日々だ。そしてここ近年感じるのは、これだけ平和で豊かな日本がまるで言論を封じ込まれた北朝鮮や中国のような窮屈さだ。これはきっと僕だけでなかろう。
えっ、なんの話だって。そんなことを感じている僕が好む店ってのは、もしかしたら現代社会の愛煙家イジメが嫌いな店主が切り盛りしているのかもしれない。で、店主のそんな思いが店のツラに出てきて、僕の共感を誘いのれんをくぐらせるのだ。そう考えると僕の選ぶ店の圧倒的な灰皿率は合点がいく。