昭和そして平成とロックと共に生きた男、日本を代表するロックンローラー内田裕也が映画に賭けた思いを語ったその全記録、『内田裕也、スクリーン上のロックンロール』がキネマ旬報社より発売中です。
まるで2018年9月15日に亡くなった妻の樹木希林の後を追うかのように、2019年3月17日に79歳でこの世を去った内田裕也さん、ロック歌手でありながら、数多くの映画にも出演した「俳優」でもありました。筋金入りのロックンローラーが映画に賭けた思いとは、一体どのようなものだったのでしょうか。本書は生前最後の超ロングインタビューを掲載、79年間の人生をロックンロールで駆け抜けた内田裕也さんが死の直前まで語り、遺した360頁にわたる魂の叫びです。
ビートたけし、推薦! 帯に書かれた「内田裕也、ついに絶滅……」という言葉のインパクトがすごいですね。そして「ロックと共に精一杯生きた男の証!」と綴られています。
本書中で、『夢一族 ザ・らいばる』(1979年)についてのインタビューで、西城秀樹さんとのエピソードが語られている場面が印象的でした。あの秀樹さんが、裕也さんから依頼されて出演したチャリティーコンサートで「お前はロックだよな」と言われて、有頂天になったというのです。それ以来親交が深まった二人は、ハワイ旅行にも行くほどの仲になったようなのですが、その機中で、秀樹さんがお腹を壊していたところ、裕也さんがずっとさすってくれたことを週刊誌の連載で語っていたというものです。最後に「秀樹、アイツも死んじまった……。」とぽつり。今頃は天国で、こんな思い出話でもしているのでしょうか。
他にも興味深く惹き込まれるエピソードも数多く掲載されています。音楽と映画、ジャンルを超えて、人生の最後のその時までロックンロールした男の俳優人生に焦点を絞り、全篇新緑というロングインタビューからその軌跡を辿った一冊は、内田裕也さんファンには必見です! いえ、ファンならずとも必見と言ってもいいでしょう! こんなロックンローラーは、これからの時代、もう現れないのではないか…そう思うと、「絶滅」という言葉どおり、「内田裕也」は唯一無二の存在だったのだと、あらためて感じさせられる一冊です。
『内田裕也、スクリーン上のロックンロール』
2019年6月13日発売
定価:2200円(+税)
発行:キネマ旬報社
ISBN:978-4-87376-467-2