夏も近づく八十八夜はもうとうに過ぎていて、夏の香りのする日が増えてきた東京だ。若かりし日々、夏ってのはいつも俺たちの中心にあった。幼い頃は夏休みをビッグに遊び、やがて思春期になると女の子をターゲティングして、悶々としたりハツラツとしたり、泣いたり笑ったりと、気持ちの波が激しくなる季節だった。ちょうどそんな頃の俺たちの夏に、サザンオールスターズがいた。いや、正確にいえばいつの時代の夏にもサザンはいるが、俺たちのサザンは特別ですよね(笑)。僕にとってサザンとは、友人から借りてテープに落として聴き込んだ『ステレオ太陽族』と『NUDE MAN』なのだ。高校生の夏をおおいに彩ってくれた。
これより以前、宇崎竜童さんによって横浜に憧れたことがある。どんなところなんだろうと友人と旅立って「なんだよ、普通の街じゃん」とガッカリしたうえ、迷子になったという想い出が残っている。そんな横浜以来だったかもしれない。サザンによって湘南・茅ヶ崎に強い憧れたを抱いた。きっとキレイな女の子しかいないだろうと信じた。が、そんなナウでヤングな場所に行くことはなく、夏といえばスタジオにこもってバンドの練習やライヴ、そして打ち上げに明け暮れていた。だから僕は夏の太陽の香りがしないんだ。そもそも、髪の毛の長いやたらとギラギラしたヤツに茅ヶ崎へ来られちゃ迷惑ってもんだ。サザンとは真逆の俺たちだったのさ。
湘南・茅ヶ崎ってのは、そんな憧れのまま心に響きわたる地名だ。何度か出かけては、なるほどサザンが歌う聖地でありオッサレーな場所だと楽しんだ。そもそも、ただの海岸がオッサレーに感じる土地ってのはすげー資産価値が高い。とくに、俺たちがハイティーンだった頃のこの地のイメージったらキラッキラに輝いている。と、そんな憧れの地でちょっとした文化事業を立ち上げたいと考え始めた僕で、個人的に名付けると『キラッキラな湘南・茅ヶ崎を永遠に』だーっ。
80年代のこの地の想い出を『昭和40年男』が募って誌面で展開する。紙面で紹介しきれないものをこのサイトにストックして、いつでも誰でもアクセスできて楽しめちゃうデータバンクにしたい。どの世代でも広く楽しめるというものでなく、そこは『昭和40年男』がやるのだからこだわりたい。これは“ハイティーンの時代に見た80年代の湘南・茅ヶ崎”と限定すれば、自然と絞れるかなと企んでいる。そう、まだ未確定要素ばかりの企画でしかないのだが、キックオフだけは決まっている。
今回お声がけくださったのは『昭和40年男』の創刊からのファンだという昭和42年ギャルで、このスペースを使って悪巧みをしてほしいとの宿題だった。加えて、我々世代のコミュニティみたいなものを作れないかと打診された。そこで前述の文化事業みたいなものを、エリア内外の湘南、茅ヶ崎ファンたちで運営していけたら楽しいのではないかと考えたのだ。ともかく、6月16日に遊びにきてくれないか。ここではまずみなさんとの悪巧みの前に『昭和40年男』の10年を振り返って、これまでの紆余曲折や裏話なんかをたくさん用意するつもりなんで、読者さんにはたまらないイベントとなるはずだ…、って僕がくっちゃべるのだから疑わしいかな。いやいや、ぜひっ!! 別名『茅ヶ崎・湘南秘密基地』じゃー!!