屋根より高い鯉のぼり〜♪よ、いずこ? 昔はあちこちで見られた鯉のぼりだが、一般の家が立派なのを上げているのほとんど見なくなってしまった。僕の実家は、鯉のぼりこそなかったが兜を飾ってくれた。これが楽しみで、4月になると早く出そうと両親に迫るもののそうそう簡単には出してくれない。4月の終わりくらい、ちょうどツツジやサツキがブワッとなり始めた頃に出してくれる。ご近所の鯉のぼりも同じような頃に空を泳ぎ始めて、いよいよ大好きな5月の始まりだとワクワクする少年だった。
そして迎える今日5月5日のお楽しみが、柏餅だった。今では信じられないことだが、ガキの頃はあんこが大好きで、数あるあんこ物の中でも柏餅がキングカズだった。我が家では5月5日にしか食ってはならないとの固い掟があり、この日の開店に合わせて餅菓子屋に駆け込むように買いに行った。やるときはやるというのが我が北村家の習わしで、お袋は「食いたいだけ買ってこい」と言ってくれ「よーし、やったるわい」と、20個とか買ってきて食いまくったものだ。このおかげで、今も5月5日はイメージがすこぶるよい。宿題に攻め込まれる8月31日はあれから随分の月日が経ったのに、いまだにあの日付を見ると気分がよろしくない。
ツツジやサツキも楽しみだった。僕が育った荒川区は路面電車が走っていて、すぐ近所から乗ると飛鳥山に行ける。ここのツツジが見事だった。桜も有名だが、一面に咲くじゅうたんのようなツツジに子供ながら心が踊った。今はどうなっているだろう。
すっかりおっさんになった俺たちだが、何かひとつ子供返りをしてはいかがだろう。年に一度しかない男の子の節句だ。永遠の男の子たちは、新聞紙で兜でも折ってみてはどうだ。僕も今日は目一杯子供返りを楽しむ予定で、もちろんカブトは折る!!