鈴鹿サーキットからついさっき戻ってきた。12回目の取材は46歳の誕生日とぶつかり、キレイな花火が祝ってくれたよ。
タメ年で友人の鶴田竜二さんが監督を務めるチームが、我慢我慢の走りでなんと5位でフィニッシュした。ゴール後にがっちりと握手を交わして「おめでとうございます」と言えたのは、本当にうれしい瞬間だった。スタート直前のデモ走行でマシントラブルが出て、サブマシンでピットからのスタートになってしまい、どうなることかと思ったが、まさにドン尻スタートから1つ1つ追い上げていっての5位は素晴らしい結果である。タメ年万歳!!
一方、今回の取材で残念だったのは、仕事を通じて知り合い親しくしていただいている、東海の暴れん坊こと水谷勝さんが、長く続いた8耐人生から引退したことだ。年齢制限の規定違反を改めて問われたという、なんとも意外な幕引きだった。第1ライダーでエントリーしていたのに、レース直前の木曜日に言い渡されたとのこと。現段階で詳細な取材が出来たわけではないので、どのような経緯なのかはつかめていないが、そもそも55歳までというライセンス規定があったそうで、そこをつつかれた。そんなんだったら、これまでだって規定違反だったじゃないのっ。なんてったって今年62歳で、去年だって走っているのだから。『風まかせ』というウチでつくっている大人向けのバイク雑誌で、参戦の模様を特集する予定だったのに、急遽引退セレモニーの寂しい取材となってしまった。
生涯現役を掲げて、日本のバイクシーンにおける文化であり、大切なレースである8耐を盛り上げてきた。首の骨を折るという大ケガで参戦を見送っていたが、去年は力強い走りとは言えないまでも、今年へと続く奇跡の復活劇を演じてくれたのだ。そして、完全復活を誓う第1ライダーでのエントリーに、大きな期待を寄せていたファンも多いはずだった。僕もその1人で、取材の柱を突然失ってしまったのだ。
大会サイドが急遽組んだ引退セレモニーは、今回2位となったヨシムラが決勝を闘うマシンを提供して、長く走り続けてきた鈴鹿のコースを、手を振りながら1周した。コースに入るときに、一礼した姿が印象的だった。62歳の男の引き際はあまりにもカッコよく、そして8耐ファンたちの涙を誘った。ピットに戻ってきた水谷さんをファンと関係者が囲み、今回話題を提供してくれた島田紳介さんのチーム以上の大きな人の輪が出来た。その真ん中で花束を持って涙を流している男に、僕はこれまでどれほどたくさんのことを教わってきたことだろう。明るい笑顔の大切さ。まっすぐに気持ちを伝えることや、へこたれない強さなどなど、取材を通して教わってきた。本当に残念であるが、長い間お疲れさまでした。ありがとうございました。自分が60歳を過ぎたときの、大きな目標であることには何ら変わりない。