多摩川土手の桜はもうこんな感じで、いよいよ春本番直前である。新年を迎えると少しずつ陽光に丸みが混じってきて、1日1日と春を知らせる動植物がお目見えする。梅の香りに包まれていたかと思えば、雪柳や菜の花がブワッと開き、モクレンや桃なんかが花をつけるといよいよ真打のサクラさんの登場である。
東京では今週にも開花宣言が出るようだ。昨日も多摩川土手では、早くもお弁当を広げているグループを何組か見かけた。いつも上野公園あたりが満開になってから、3~5日くらい遅れて満開を迎えるのは、川の影響で朝晩の気温がぐっと冷えるせいだろうか。雨や強風がなければ、多摩川土手の見頃は今月最終の週末ということになるだろう。宴会は無理そうだが、散策くらいは楽しみたいものだ。
春は出会いと別れの季節だ。年齢が深まる我々にとって、残念ながら別れの方が多くなっていく。定年での別れが増えている中、年齢による体調不良や家族の問題などで仕事環境を変えざるを得ない方が多くいる。それぞれの事情ながら、無念の気持ちを受け取ることが少なくない。つくづく加齢ってのは残酷だと思うことが多いもののもちろんそればかりでなく、ハツラツと毎日仕事に励んでいる姿に出くわすと俄然元気になる。
別れを憂うばかりでなく、出会いを求めたい。去年の春に、嫁に来て以来50年以上住んでいた家を出されたお袋が、懸命に新しい街に馴染もうと頑張った姿を誇らしく思う。毎朝の体操に出かけて、会う方々に積極的に声をかけ続けているのだ。友達がどんどん増えていると微笑んでいるのは頼もしく、引越しをうまく乗り切れるかかが杞憂で済んでよかった。そして見習おうと思う。
おっさんにも出逢いの場があるじゃないか。『昭和40年男』が仕掛ける秘密基地はその象徴であり、もっともっとご参加いただけないものかと思案を続けている。加えて、誌面に対してもっと気軽に声をあげていただく方法も探さなければならない。立ち上げて以来願っているのは、同世代諸氏のつながりをサポートできる雑誌だ。10周年イヤーはこれを加速させたいと願っているので、よき知恵があったらどんどん押し込んでいただきたい。今夜の浅草でもいいですよー。