新宿の昭和タウンを発見した。これまで知らなかったことを後悔するほど、いい面構えの店ばかりが並ぶ街だ。高校生の頃より歌舞伎町のライブハウスに出演していて、新宿といえば僕にとって歌舞伎町となった。猥雑な感じが大好きで、たま〜に訪れる。が、この日はちょっと散策してみることにして、伊勢丹の裏の方から誘われるかのように入り込んでいくと、チェーン店がほとんど無く低い建物ばかりの昭和な呑み屋街に出くわしたのだ。
入りたい店ばかりで、こいつはハシゴせねばと一軒めは鉄板焼きの『こて屋』なる店に入った。ガサツな印象の店内なのに、料理の数々は実に丁寧でうまい。が、長っ尻をせず1時間弱で店を出る。ここに入る前に通りかかって気になっていた店に入店したのだ。
店名が『どん底』とはすばらしいセンスだ。入り口の雰囲気が、食事というよりバーの印象を受けたから二軒めにしたが、どっこいフードメニューが充実していて次はガッツリ食いに出直すつもりだ。入り口看板には三島由紀夫と黒澤明が愛したどん底カクテル、愛称ドンカクが名物とある。店によると、元祖酎ハイだそうだ。いわゆる昭和の文化人たちが愛した店で、副編集長で文化人(!?)の竹部に行ったことがあるかと聞くとさすがで、よく知っていた。
ドンカクは僕にはちょっと甘めだったが悪くない。フードは一軒めで食べていたからあまりオーダーできなかったが、自家製厚切りチャーシューを頼むとボリューム満点で絶品だった。そして何と言っても素晴らしいのは、新宿の呑み屋で一番古い建物だと名乗る店の内外装だ。昭和26年の創業だそうで、天井が低くて狭く感じる圧迫感がたまらない。これぞ昭和だという雰囲気を満喫できる。店員さんも感じがよくて、僕にとっていきなりAランク店が加わった。うーむ、新宿は奥深い。
絶対に行くっ!!
絶対ときたもんだ(笑)。きっと気に入りますよ。