あーあ、埋めちゃったと思ったら掘り返して、賠償金を早々に決めて解決しようとするお国柄は凄まじいばかりだ。まあ、共産国ですからこんなもんでしょう。中国に行った経験からしても頷けてしまうのだ。
モーターショーの取材のため、初めて行った広州でのことだ。空港で降り、タクシーでホテルに向かうといきなりのボッタクリである。150元と言われてすぐ計算すると、約2,000円だからそんなものだろうなと払おうとしたら、海外経験の豊富な相方が猛チャージした。ガイドブックを使いながらの抗議を繰り返すものの、双方の主張は当然ながら平行線である。僕はまったく蚊帳の外で、2人のやり取りを写真に撮ろうとすると、運転手は僕にやめろと言っているようだった。車外に出ての騒ぎになり、今度はそのやり取りを見た女性がどうやら僕らに加担してくれたようで、中国人同士の言い合いとなり、僕と相方はそのやり取りを眺める側となった。言葉はわからんがこんな調子だ。
「あなたみたいなタクシー運転手がこの国の品位を下げるのよ」
「うるさい、こいつらは日本人だからいいんだ」
「日本人だからってボッタクリはダメよ」
「いいんだよ、コイツらはバカのくせに金を持っているんだから」
あくまで推測です…、が、あきらかに女性は抗議してくれている。それにしても中国語の口喧嘩は迫力があった。そこに遠くから向かってくる公安のパトカーがこの事件を収束させた。運転手の顔が青ざめて、さっきまでと急変して怯えたような表情になり、相方に50元でいいと頭を下げた。100元も下がりなんだかわからんがラッキーと相方は渡し、運転手は急ぎクルマに乗り込み去っていった。女性に礼を言い、無事チェックインしたのだった。ところがガイドブックで調べると、空港からこのホテルまではだいたい20元で来られる距離だったのである。結局、倍以上払ったことになり、そんなひどいボッタクリ運転手であるのに、公安へ怯えるさまは強く印象に残った。その後も公安の絶対的な権力は、滞在中に見せ続けられたのだった。お上は絶対なのだ。
モーターショーでは、ヤマハブースに中国で出回っている偽ヤマハ製品の紹介コーナーが大きくとってあったのに苦笑させられた。さらに驚愕のブースが並ぶエリアがあった。白いスクーターが並んでいて、日本のスクーターカタログが置いてある。アテンドしてくれた現地人によると、日本車そっくりに作ってくれるオーダーメイド業者だそうだ。ウギャー。さらにさらに、国内メーカーと一字違いのメーカーがたくさん出店しているじゃありませんか。本家のメーカーが並ぶショーに違法業者が堂々とブース出展できるパラダイスが中国だと知ったのである。スゲー。そんな国なのだから、国の都合で高速列車を埋めちゃったってさほど驚くことじゃない。
同じ日のニュースだが、ニューヨーク州で同性結婚が認められ、ものすごい数のカップルが届け出たというじゃないの。世界は広いなあ。