12日にリリースした『昭和40年男』の総集編『俺たちが愛した昭和野球』は、どうやらそこそこの評判のようでホッとしている。こうしてまとめてみるとずっしりとしてなかなかいい。
俺たち世代は共通して野球への愛が深い。今も話題にはなるが、当時の野球は国民の関心ごとだった。きっとV9時代の巨人ファンとも野球感は異なるだろうが、俺たち世代は何と言っても遊びの中心に野球があった。観る野球にハマる以前はやる野球だった。小学校の低学年の頃から、放課後や休日はプラスチックバットにゴムボールで野球を楽しんだ。人数によっては2塁が無しの3角ベースにして、臨機応変に対応した。プラスチックと言えどバットが使えない休み時間の校庭は、手打ち野球で汗びっしょりになり、2ベース間を守る守備とランナーに分かれる“挟みっこら”と呼んだ遊びもあった。俺たちの時代は、サッカーはまだマニアの遊びだった。
やがて遊びだけでなく、猛者たちはチームに入る。硬式を使うリトルリーグに行く者もいたが、主流は軟式野球だった。ケツバットを当たり前に食らうチームが多く存在して、完全なるスポ根だった。水も飲んじゃダメ。うさき飛びもスタンダードなトレーニングだったあの頃、練習明けの水のうまさやシゴキに耐えた翌日の筋肉痛は今となってはいい想い出だ。練習の仕上げになる夕暮れ時のランニングで見たキレイな夕焼けや、駄菓子屋に寄っての買い食いなんかもすべて練習のつらさが増幅してくれた。
野球がうまいヤツがクラスでは英雄だったし人気者だった。多くのガキどもが集まれば、その中で最もうまい2人がジャンケンでチームを構成する。そんなジャンケンをしたことがない僕で、指名も下位だったがやっぱりその輪に入って遊びたかった。エラーと三振に嫌なヤツから罵声が飛ぶのを我慢できたのは、やっぱり楽しかったのだ。と、多くの昭和40年男たちが今うなづいていることだろう。今回の総集編は観る野球を中心に構成したが、やる野球の想い出は酒でも呑みながら語り合いたいものである。来週の『浅草秘密基地』でぜひっ!!