株式会社ジャストシステムが運営する、マーケティングリサーチに関する情報サイト「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」では、全国の17歳から69歳の男女1,100名を対象に『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査』を、2012年7月から毎月1回実施している。
この度、そのときどきのトレンドに焦点をあてて調査を行っている設問について、2018年1月から12月までの調査データをまとめて分析し直し、『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査~2018年総集編 【トレンド版】』 として発表した。
【2018年の年間トピックス】
2018年、モバイルやソーシャルメディア関連分野におけるトレンドは下記のとおり。
■10代から50代が情報収集に使うのは「テレビ」よりも「スマートフォン」
■10代の7割以上が、スマートフォンでの情報収集に「SNS」を活用
■格安スマホの利用率が、3年間で約4倍に。30代は4人に1人が利用
■8割が「SNS依存症」を認知。若年層ほど「依存症」に強い警戒心
■主要SNSの広告について、「Instagram」のみ不快感を持つ人が増加
■30代のアドブロッカー利用率は約4割。昨年より8ポイント増加
■ソーシャルシェアボタン利用率1位は「Twitter」、2位は「LINE」
■スマートフォンでのサジェスト検索は、10代の半数以上が「頻繁に利用」
■スマートフォンでのWeb閲覧履歴を元にした広告に、約半数が「不快感」
■男性スマホユーザーの5人に1人が「スマホトレーダー」
現在、10代から50代までの幅広い世代が、情報収集を行うためのツールとして「テレビ」よりも「スマートフォンからのインターネットやアプリ」を活用しているという結果に。10代では、スマートフォンから「インターネット」とともに、「SNS」で情報収集をする人が7割を超えている。
このように、スマートフォンは情報収集ツールとして幅広い世代に受け入れられている一方で、SNSのタイムライン上に表示される広告やWeb閲覧履歴を元にした広告に対して、半数以上が「不快感を抱く」と答えている。消費者にアプローチしやすいスマートフォンやSNSだが、広告主側にとっては必ずしも効果的とは言い難い結果になっている。
【トピックスの詳細】
■10代から50代が情報収集に使うのは「テレビ」よりも「スマートフォン」
スマートフォン利用者に、普段、情報収集に活用するツールを聞いたところ、「スマートフォンからのインターネットやアプリ」(75.7%)が最も多く、次いで「テレビ」(70.9%)でした。
年代別に見てみると、10代から50代までは「スマートフォンからのインターネットやアプリ」が「テレビ」を上回り、60代のみ「スマートフォンからのインターネットやアプリ」より「テレビ」が活用されていることがわかりました。
※2018年10月度調査。複数回答あり。
※10代は「スマートフォン」(73.9%)に対して「テレビ」(64.1%)、20代は「スマートフォン」(68.0%)に対して「テレビ」(57.5%)、30代は「スマートフォン」(80.5%)に対して「テレビ」(68.4%)、40代は「スマートフォン」(84.0%)に対して「テレビ」(81.1%)、50代は「スマートフォン」(79.3%)に対して「テレビ」(76.8%)、60代は「スマートフォン」(65.9%)に対して「テレビ」(77.3%)でした。
■10代の7割以上が、スマートフォンでの情報収集に「SNS」を活用
スマートフォンで情報収集をする際、最も利用しているツールを聞いたところ、「インターネット」(83.3%)が最も多く、次いで「ニュースアプリ(新聞社やテレビ局以外)」(50.3%)、「SNSの投稿やニュースコンテンツ」(40.9%)でした。年代別で見てみると、10代でも「インターネット」(77.9%)が最も活用されていましたが、「SNSの投稿やニュースコンテンツ」(70.6%)を活用している人の割合が他の世代と比べて高いことがわかりました(20代:55.3%、30代:39.3%、40代:32.4%、50代:31.5%、60代:27.6%)。
※2018年10月度調査。複数回答あり。
■格安スマホの利用率が、3年間で約4倍に。30代は4人に1人が利用
2018年7月度調査において格安スマホ(格安SIM)を「現在、利用している」人は21.5%に上り、2015年5月度調査(5.8%)と比べて約4倍に増加しました。
年代別に利用率を見てみると、10代(18.0%)、20代(23.0%)、30代(24.5%)、40代(23.5%)、50代(20.0%)、60代(18.5%)でした。いずれの世代でも2割前後の人が利用しており、30代においては4人に1人が契約していました。
■8割が「SNS依存症」を認知。若年層ほど「依存症」に強い警戒心
SNS利用者のうち、「SNS依存症という言葉を知っている」人は78.4%でした※1。そのうち、「普段から、SNS依存症にならないように意識している」人は23.0%でした。年代別に見ると10代は39.5%、20代は28.3%、30代は23.9%、40代は21.7%、50代は12.6%、60代は10.9%と、若年層ほど「SNS依存症」への警戒心が強いことがわかりました。
※2018年5月度調査。
※1 「知っていてそうならないよう努力している」 「知っているが、特に意識して行動はしていない」の合計。
■主要SNSの広告について、「Instagram」のみ不快感を持つ人が増加
SNSのタイムライン上に表示される広告に対して「不快感を抱く」と答えた利用者の割合を、2017年9月度調査と2018年12月度調査で比較したところ、「Facebook」が63.4%(2017年9月度調査)から60.9%(2018年12月度調査)に減少、「Twitter」は66.7%(2017年9月度調査)から58.5%(2018年12月度調査)に減少、「LINE」は52.7%(2017年9月度調査)から49.8%(2018年12月度調査)に減少していました。一方、「Instagram」のみ55.2%(2017年9月度調査)から57.5%(2018年12月度調査)に増加していました。
※「時折、不快感を抱くことがある」「不快感を抱くことが多い」の合計。
■30代のアドブロッカー利用率は約4割。昨年より8ポイント増加
2018年4月度調査において、パソコンやスマートフォンにインストールすることでインターネット上の広告をブロック(非表示)できるアプリ「アドブロッカー」を「知っている」人は31.8%でした※。そのうち、「現在、利用している」人は33.7%で、2017年10月度調査(34.1%)と比べると、ほぼ横ばいでした。年代別に見てみると、30代で利用者の増加が目立ち、33.3%(2017年10月度調査)から41.3%(2018年4月度調査)と8ポイント増加しました。
※「知っていて、他の人に詳しく説明できる」「知っているが、他の人に説明できるほどではない」の合計。
■ソーシャルシェアボタン利用率1位は「Twitter」、2位は「LINE」
2018年4月度調査において、ネット記事などを閲覧して気に入った際にシェアすることができる「ソーシャルシェアボタン」のうち、最も利用率が高かったのは「Twitter」(69.4%)、次いで「LINE」(63.1%)、「Facebook」(57.3%)でした。「LINE」は、2017年1月度調査(51.8%)から大幅に増加し、「Facebook」を上回りました。
※複数回答あり。
■スマートフォンでのサジェスト検索は、10代の半数以上が「頻繁に利用」
インターネットでキーワード検索する際、最初の数文字を入れると、入力候補が一覧表示される「サジェスト(提案)検索機能」をスマートフォンで「頻繁に利用する」人は38.0%、「ときどき利用する」人は30.5%、「あまり利用しない」人は10.2%、「利用しない」人は10.0%でした。年代別に見てみると、「サジェスト検索機能」は特に10代で利用する人が多く、54.0%が「頻繁に利用する」と回答しました。
※2018年8月度調査。
■スマートフォンでのWeb閲覧履歴を元にした広告に、約半数が「不快感」
スマートフォンを利用している最中に、「自分自身のWeb閲覧履歴などを元にカスタマイズされた広告が配信されていると感じたことがある」人は78.7%でした※。そのうち、「便利だとは感じないし、不快に感じることが多い」人は25.9%、「不快なのでやめてほしい」人は25.6%で、合計すると51.5%が否定的な意見を持っていることがわかりました。
※2018年11月度調査。「頻繁に感じる」「ときどき感じることがある」の合計。
■男性スマホユーザーの5人に1人が「スマホトレーダー」
スマートフォンを使った株取引について14.0%の人が「現在行っている」と回答しました。男女別に見ると、「男性」で行っている人は20.9%、「女性」で行っている人は7.2%でした。スマートフォンを所有する「男性」の5人に1人が、スマートフォンで株取引を行っていることがわかりました。
※2018年11月度調査。
この結果で驚いたのは、昭和40年男世代も含む50代でも、情報収集は「テレビ」や「新聞」より「スマートフォン」というところ。確かにテレビはほとんどの場合家で観ることが多く、働く世代では外にいる時間の方がはるかに長いわけですからこの結果も当然と言えば当然かもしれませんね。新聞よりも情報スピードが速いネット上のニュースの方がよりタイムリーな情報も得られることもあり、これからますます、「スマートフォン」による情報収集の割合は増えていくのでしょう。ただし、SNSなどを多用していると目にする機会も多いフェイクニュースなどには十分注意が必要です。また、依存症など、便利であるが故の落とし穴も軽視できない問題となっているので、それぞれが自覚をもって正しく使いましょう!