この土日は、島根県の浜田市という漁師町に取材に出かけた。会員向け情報誌の仕事だから、おそらくこのサイトを見てくださっている1,000万人(!?)ファンの方々の目には届かないだろうが、久しぶりに旅ページの企画とライティングを担当することになった。季刊ペースの仕事なので、気分転換だととらえてがんばりたい。それにしてもこのところ、新しい仕事が次々と舞い込む。既存の仕事も増える一方で、我ながらよく手を出すなと呆れるやら感心するやら。まあともかく、キャシャーンがやらねば誰がやるのスピリットで走ることにしている。
島根県といえば出雲大社がビッグネームで、大学駅伝の舞台にもなっている。横に広〜い県で出雲から海岸沿いを西へ西へと行くと浜田市がある。大きな漁港があり、かつては浜田藩として栄えた。廃藩置県の際には浜田県となり県庁まで建てられたそうだが、すぐに島根県に統合されてしまった。そんな歴史はこれまで知らず、訪れることで重要な土地だったことを知ることができたのだから、幸せな話だ。
当然ながら魚がうまい。市場に寄ってみると、のどぐろやカレイなんかが驚くほど安く、夜にくり出した居酒屋でも新鮮なのどぐろやサバ、活きたうちわ海老などなどを盛り合わせてもらい、やはり東京では考えられないような価格で堪能できた。知の幸せだけでなく、舌も腹も喜びにあふれた2日間だった。
と、そんな漁師町にあってなんでこの写真なんだ? 浜田駅から程近い、にしきそばという店のカレーうどんは、地元の方が愛するカレーうどんなのだ。今回の旅は故郷をテーマにしていて、その主人公となる案内人が思いつくままにめぐる様子を記事にするというもの。その案内人が、日本海の幸とともに強く推したのがこの一杯なのだ。実際、つぎつぎと訪れる地元客は多くがカレーうどんかそばをオーダーしている。待つこと少々で届いた出汁を口に運ぶと、これまで経験したことのないやっさしーい味だ。故郷に帰ると必ず立ち寄ると案内人が言う通り、強烈でないながらクセになりそうな魅力がある。またこの地を訪れることがあれば、必ず立ち寄るだろう。
やっぱり旅はいい。食だけでなく、地元の方々とのふれあいは心が成長した気分になる。知らない街で心をすっ裸にできれば、旅はとびっきりの栄養になるのだ。この企画は次にどんな出会いをもたらしてくれるのかが楽しみながら、記事にまとめこむ苦しみが待っていることからは逃れられない。