【悲惨な戦い】理科の実験という名の修験道!

昭和40年男の悲惨な戦い

昭和40年男の少年時代は、決して楽しいことばかりじゃなかった。今思えば笑っちゃうようなことでも、俺たちは真剣に悩み、戦っていた! ここではホロリと苦い「悲惨な戦いの記憶」を通じて、昭和40年代&50年代という時代を振り返ってみたい。

「指に針を刺せ」と笑顔で迫る教師に百恵もビックリ!?

みんな覚えているかしら、あの白いブランコ…じゃなくて理科の実験を! 俺たち昭和40年男の小学生時代、理科の授業はやたらと実験が多かった。アトラクション度が高くて楽しかったけど、時々変な実験があって、けっこう大変だったよ!

ある時「水に塩を入れると氷点下でも凍らない」実験をすることになって。それがなんだか「試験管に温度計突っ込んで塩水を入れ凍らせて、アイスキャンディを作りましょう」ってことになったわけ。塩水凍らせただけでアイスキャンディって言うなよ!って今なら思うけど、当時は飢えていたから俺たちも「わーいアイスキャンディだ」って喜んでつくったわけ。そして塩入れたからマイナス2℃くらいでも凍んなくて、マイナス5℃でやっと凍って実験終了。さあ食べましょう、ってここで問題発生。キャンディ、っていうか塩水氷が試験管に完全に貼りついて、出てきやしねーの! 先生これどーすればいいの?

「少しお湯かけてみましょー」

それ危なくねー?と俺たち全員思ったけど、当時は先生ファシズムの時代だから逆らえない。そして凍った試験管にお湯かけたら案の定「バリンッ!」っていって試験管がメタメタに割れて、テーブルの上はガラスの破片だらけ! そんな中から出てきた塩水氷を「食べていいわよ」と言われても。破片が残って口切るやつとかいたら、今なら大問題。しかもキャンディのバーが温度計ってのも。ケガする奴はいなかったけど、つくづくマヌケだったねアレは。

その余韻も消えないうちに、また実験は行われた。果物に含まれる酸を調べて酸性について学べってことで4人ずつの班に分かれてひとり1種類、計4種類の果汁を絞ることになった。ミカン、レモン、リンゴ、ダイコン。
だからなんでダイコンなんだよ果物じゃねーだろうが! しかも間が悪い俺はダイコン担当になってしまい、スリスリすりおろしてガーゼで絞ってダイコンジュースの一丁上がり。リトマス紙に浸して実験終了、と思ったら。
「じゃあ絞った果汁を飲んでみましょー」ってアホじゃねーのか担任女! しかし当時は先生ファッショ、俺はダイコン汁を一気に飲んだ。グビッ。ゲロまずい! 当時の俺は全野菜が嫌いだったから死ぬかと思った。

そんな俺の横で、レモン担当のおぐちゃん(再登場)も100%レモン果汁を一気飲みさせられて苦しんでいた。生徒を殺す気かファッショ教師。だがそれは恐怖の予兆にすぎなかった。ある日その世紀末の実験は、突然行なわれた!

「今日は自分の血液型を調べます。指の腹に針を刺して、血を出しましょう」。やっていいのかその実験! そしてヘタレだった俺は、どうしても自分の指に針が刺せない。ツンツンいじくってたらサカムケして血はにじんできたけど、血液型を調べるには大量の出血が必要だ。するとここで、グズグズする俺にファッショ教師が気づいた。「もっと深く刺さなきゃ!」と俺の指に針をグサッ!

ギャアアアアアッ!!!

めでたく血はドピュッと出てO型でハイ実験終了。って教師が生徒を刺して問題ないのか?そして血液型を調べて両親の実の子ではないと発覚したら、どう責任を取るのか。

「お父さんはO型でお母さんはAB型、だから私もAB型」ってそれは違うぞ『赤い疑惑』の百恵状態! それでもウチの学校は、フナやカエルの解剖はなかった。カエルはなー、エグいよなー。今はさすがにしないみたいだけどねカエルの解剖。

あと今は危険だからアルコールランプは使わないのと、アスベスト問題で石綿付き金網もNG。俺らしょっちゅう両方使って、ビーカーでいろいろ配合して熱したけどね。よく爆発とかしなかったよなー今思えば。
結局俺は文系に進んだので、今となってみればすべての実験が必要なかった。本当にアホだったね昔の小学校って。オデンのダイコン食べる度に思い出すね、当時のアホアホぶりを。

文:カベルナリア吉田

【「昭和40年男」vol.47(2018年2月号)掲載】

昭和40年生まれの紀行ライター。普段は全国を旅して紀行文を書いている。この1月に新刊『ビジホの朝メシを語れるほど食べてみた』(ユサブル)出版したからヨロシク! 去年出した『おとなの「ひとり休日」行動計画』(WAVE出版)、『突撃! 島酒場』(イカロス出版)、『何度行っても変わらない沖縄』(林檎プロモーション)、『狙われた島』(アルファベータブックス)全部ヨロシク! 2月17日には東京・世田谷の「かなざわ珈琲」で手料理つきバレンタイントークショーやるから来てくれよな!

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