老いていく犬と俺。

僕の住まい近くは、初日の出のちょっとしたスポットで多くの人がやってくる。残念ながら今年は空振りとなって、ならばと2日も早起きを決め込み、愛犬を連れてトライするとこのように見事に見えた。初日でないがなんとも気分はよろしい。家族が誰も起きていないのに、こうして朝から出かける気になるのはこの相棒がいてくれたからだ。

 

しかしこいつはもうすぐ15歳。いろんなカウントの仕方があるそうだが、人間に例えると70代半ば以上だとのこと。ずいぶんと爺さんになったものでここのところ老化がひどい。耳が随分遠くなった。かつては夜中に帰ってくる足音を聞き分けて玄関で待っていてくれたが、現在は鍵を開ける音も廊下の足音も聞こえず、居間で目があってびっくりするなんて様子だ。特にここ最近はどんどん聞こえなくなってきている。目も悪くなってしまい、大好きだったボールを投げたのを追いかける遊びは、ほとんど見失なってしまい成立しなくなった。足が震えだしたり、走るとゼエゼエするなんてこともほんの半年前には考えられなかったことだ。徐々に年老いているのは感じていたのだが、ここ最近はひどすぎる。

 

大切な家族である。これも飼う前には知らなかった感情で、こうして老いていくことがつらくてならない。別れの覚悟をせねばならないのだ。

 

人間のわがままで不幸な犬が多いと聞く。大好きな『ビッグコミックオリジナル』で連載されている作品『しっぽの声』には、ペット産業の中で命を生産していくひずみがよく描かれている。産み続けるだけで老いていく犬が多くいるのだ。これが現実なんだと突きつけてくる。比べて愛に包まれた犬たちの幸せを描く。うちのが幸せなのかどうかはわからんが、お別れの日までせいぜいかわいがってやりたい。

 

飼い始めた頃はまだ30代だった僕もあの頃から比べたらずいぶんと老化している。今年は54才だものなあ。我が家の犬も僕も体験したことのない年齢を重ねている。愛犬を見ていて思うのは、彼には自らできない老化防止を俺たちは意思を持ってできることだ。老犬を前にして、努力ができることを無駄にするなと言い聞かせている昭和40年男だ。

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