昨日は渋谷の文化村オーチャードホールに出かけてきた。クラシックやオペラなどのコンサートが多く行われる名ホールだ。チャーのライブがここで聴けると出かけたのが前回で、ロックサウンドはオーチャードの音のよさをあまり実感できなかった。その以前は、美しい女性指揮者の西本智美さんのチャイコフスキーバイオリン協奏曲を聞いた。この時はさすがの音を堪能できた。そして昨日は。
今年何度目になるだろうか、最近お仕事させていただいている12名の男女混成グループ、フォレスタのコンサートだった。全員がクラシックを学んだ歌手で、ピアノ1本で見事なハーモニーを聴かせる。今年の8月にはテイチクからメジャーデビューを果たした。全国各地で年間100本近いコンサートをこなし、BSにレギュラー出演している。
昨日は12月ということでアンコールで第9を決めた。彼らは唱歌からムード歌謡、洋画のテーマ曲など、実に幅広い選曲でコンサートをこなすのだが、アンコールでは必ずオフマイクでオペラをこなす。そのラスト曲の前に第9を入れてくれたのだ。12月のオーチャードでこいつを聞けるとは、なんとも贅沢な気分になった。もう本当に今年もあとわずかである。
終了後のステージから客席を眺めた。これまで数多くの演者が熱を発散させてきた場所で、たくさんの栄光があり、挫折を味わった者も少なくないはずだ。その重みがのしかかってくるような気分になった。ついさっきまでたくさんのお客さんから大きな拍手が届けられていた場所はシーンと静まり返っていて、人間とはなんぞやなんてついつい問いかけてしまった。僕の仕事も熱を生み出すことの繰り返しだ。もっともっと大きな熱狂を生まなければなんて、気持ちは来年の仕事へと向かっていったのだった。