ガキの頃、『ザ・ベストテン』や大晦日の『紅白歌合戦』で、どちらかといえば邪魔者扱いしていたのが演歌だ。が、当時も好きな曲は存在したし、歳を重ねるごとにあの頃の曲がしみる。今のように好きな音楽だけを狙い撃ちで聴く時代でなかった。音楽とは流れてくるもので、好みでなくとも聴かなければならない。様々なジャンルの曲を自然と取り入れながら育ったのだから、結果現代人よりも豊かな感性を育てられたはずだ。
演歌が流れてくると両親は喜び、僕と弟はしらける。紅白歌合戦における毎年の現象に変化を持ち込んだのが石川さゆりさんの『津軽海峡冬景色』や都はるみさんの『北の宿から』、八代亜紀さんの『舟唄』や『雨の慕情』なんかも“好き”になった演歌だ。年末の歌謡賞番組でパワープレイされたこれらの曲は、ガキだった俺たちに刷り込まれていき紅白でハイライトを迎えるのだ。
と、そんなことを思い出したのはこのサイトの動画コンテンツ『俺たちの昭和歌謡』のベスト3セレクト作業をしていたからだ。個人的なベスト3の選択に、演歌も入れるべきと思わざるをえない。心に染み入っている曲がなんと多いことか。
てな訳で、今日は昭和49年、52年と3年刻みで61年までの収録を行う。しゃべりのプロでない僕が、しかも歌謡曲をテーマに15年のタイムスリップをするのは意外と疲れる作業であり、楽しくもある。今日も歌謡曲バー『スポットライト』のオーナー安東さんと力を合わせて作業するぞ。