今日もしつこく最新号の紹介をさせていただく。今回の巻頭特集は“俺たち即席メン世代”とタイトルして、それ以外のインスタントものまで網羅したねちっこい特集だ。ぜひご覧あれ。
特集の締めは、編集部員竹部の幼少の頃の体験を綴った1ページの読み物で、“東京下町の駄菓子屋に存在した名もなきカップ麺”としてある。これで書きたいと本人から聞いた時にまさしく僕の脳内でシナプスが喜んだ。「あったあった、50円だったよね」と盛り上がり、このページで特集の最後を飾ることにしたのだ。
僕が育った東京荒川区と竹部が育った江戸川区は、甲乙付けがたい下町である。彼とは企画の持っていき方の相性がよく、これはきっと下町人情にひたって生きてきたからだろう(笑)。彼の通った駄菓子屋の話もすごいがネタバレなのでここは僕のシマの話をしよう。
ある日の事、近所に駄菓子屋がオープンした。新しい店だから俺たちは「新店(しんみせ)」と名付けた。じいさんばあさんの店でなく、小さな子供におっぱいをあげているくらいの歳のおばちゃんが切り盛りしていた。おおらかな時代というかなんというか、僕らの前でおっぱい出しながら営業しているのだからすばらしい。でもガキの僕らにはおばちゃん美しいおっぱいは、まだなにものでもなかったのである。
新店は若いだけあって創意工夫と品物の豊富さが売りで、ほんの短期間で近所のガキどものメイン駄菓子屋に上り詰め、ほぼ毎日のように通っては少ない小遣いを吸い取られていった。ここで金持ちが食っていたのが、50円のカップ麺である。これがえらくうまかった。そしてそのうまさを安価で楽しめないかと、僕も彼も取った同じチャレンジを書いている。まさしく、共通体験がここにある。
さてさて、駄菓子屋のカップ麺は皆さんの記憶にないだろうか? まさか僕と竹部だけということはあるまい。さらに僕らの取った行動にシンパシーを感じてくれる同世代諸氏がいるのではなかろうか? 書店で手に取って確認していただこう。