日本音楽史上最も邦楽が輝いていた時代とも言われる、1980年代。昭和40年男の青春真っ只中の頃は、イントロだけでワクワクし、惹き込まれていくような曲がたくさんあった! そんな80年代の名曲から40曲をセレクト、昭和40年男風に言わせていただくとすれば、「再検証」したのが文藝春秋から刊行されている『イントロの法則80’s』だ。
歌謡曲とニューミュージックが、緊張感をはらんだまま融合し、90年代のJポップへと変質していくまでの一瞬の奇蹟、「最強音楽」の秘密に、スージー鈴木が迫る本書は、昭和歌謡ファンにおすすめの一冊と言えよう!
「昔の歌はよかった」などど、漠然と言ってみたりするが、「よかった」のにはちゃんとした理由があるのだ。その一つが、曲の第一印象を決める「イントロ」のすばらしさ。とにかくそのイントロだけで、曲の世界にあっという間に惹き込まれるという名曲がいくつもあって、それは今も容易に思い出すことができるほど、脳裏に刻まれているのではないだろうか。この本では、TOP40としているが、この40曲を選ぶのはさぞ難儀だったことだろう…。とにかく80年代は、沢田研二しかり、大滝詠一しかり、まさに名曲の「宝庫」なのだ。
「ポップとラディカル、アナログとデジタル、進化と成熟……それらの配合比率が黄金律で極まった時代だったのだ。だから、80年代のヒット曲は、最強なのだ」
著者であるスージー鈴木が巻頭で綴っているこの言葉が、まさに80年代が「日本音楽史上最強時代。」であることを表わしている。
【著者紹介】
スージー鈴木/昭和41年、大阪府生まれ。音楽評論家、野球評論家、野球音楽評論家。高校の図書館で見つけた、渋谷陽一『ロックミュージック進化論』に天啓を受け音楽評論家を志す。サラリーマンの傍ら評論活動を続け、数年前より次々と著書を出版し、大器晩成的に盛り上がっている。
『イントロの法則80’s』(文藝春秋刊) 価格:1,400円(+税)
本書で紹介されている40曲以外にも、きっと自分のベスト曲があるという人もいるだろう。先ごろ始まった「昭和40年男」動画シリーズ、「俺たちの昭和歌謡」では、歌謡曲BAR「スポットライト」オーナーの安東暢昭氏と弊誌編集長が「マイベスト3」をセレクトし、熱く語っている。実にわがまま勝手なトークが繰り広げられているが、そちらもぜひご覧いただきたい!
ただ懐かしむのではなく、「よいもの」を語り継ぐことはとても大切なこと。本書を読めば、あの名曲がヒットした奥深い理由も知ることができるだろう。歌謡曲ファン必読のこの一冊で、80’sプレイバック!