日常生活のなかで、歯を磨かないという人はほとんどいないでしょう。以前、親知らずを抜いた話のときにもふれましたが、先進国のなかでも歯の健康に対する意識が低いと言われる我が国ですが、朝晩の歯磨きくらいはしますよね? ところでその歯磨きですが、ほとんどの人が市販の「歯磨き粉」(歯磨き剤とも言うようですが、ここではあえてこう呼ばせていただきます)を使っていると思いますが、その歯磨き粉、一般的にはいったいいつ頃から使われ始めたのでしょうか?
日本での歯磨きの歴史は意外と古く、江戸時代にはすでに歯磨き粉のようなものがあったようです。その歯磨き粉には研磨剤として陶器用の粒の細かい陶土が使われていたほか、「塩」も混ぜられていました。「塩」といえば赤穂の塩が有名ですが、なんとあの「討ち入り」で知られる松の廊下の刃傷事件は、吉良藩と赤穂藩の塩歯磨きのシェアをめぐる争いが原因のひとつだったとも言われているというから驚きです。
明治時代に入って、欧米型の練り歯磨きが日本でも知られるようになり、はじめは欧米処方で作られ、明治5年に発売されたのだそうです。日本処方初の練り歯磨きが発売されたのは明治23年だそうですから、西洋のものを取り入れてから日本独自の物を作り上げるというのはなかなか大変なことだったんですね。子供の頃、同居していた明治生まれの曾祖父が「塩」を歯ブラシに付けて磨いているのを見た時は不思議な感じがしましたが、当時は練り歯磨きも、誰もが使えるものではなかったのか、きっとその習慣でずっと塩磨きだったのでしょう。今でも塩を配合した歯磨き粉はたくさんありますから、先人の知恵というのはすばらしいなぁとあらためて思ったりします。
今では、というか昭和40年男が子供の頃にはすでに多種多様な歯磨き粉が世の中に存在していて、CMではこぞってその効能をアピールしていました。「白い歯っていいな」「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか?」などなど…今も記憶に残っているフレーズもいくつかありますね。うんと小さい頃は、子供用のいちご味やらバナナ味なんてのも使っていましたよね?
昭和37年生まれの私にとって、歯磨き粉のイメージは「チューブに入った白いペースト」だったのですが、アルミチューブからラミネートチューブになり、中身も次第に赤、青、緑など色の付いたものが出始め、最近はジェル状のものも多くなってきたように思います。ドラッグストアの歯磨き製品コーナーにはいったいどれを選んだらいいのかと思うほどの数の歯磨き粉が並んでいます。そして、「歯周病予防」「口臭予防」「ホワイトニング効果」「歯槽膿漏予防」「知覚過敏対策」「虫歯予防」「フッ素配合」などなど、さまざまな効果を謳うものが、価格も200~300円のものから2,000円くらいするものまで、まぁ、まぁたくさんありますね(笑)
皆さんは定番というか、お気に入りの歯磨き粉がありますか? 絶対これに決めているという人はどのくらいいるのかと、ちょっと気になりました。何を隠そう、この私、自称「歯磨き粉ジプシー」(笑)なのです。「これがいいな」と思って使っていても、「こっちの方がもっといいかも?」と、買いに行くたびに迷っては使い終わらないで並べられているチューブの数々が今現在も8本ほど洗面台に並んでいます…。
迷う理由は、やはりその効果。虫歯予防もホワイトニングも歯周病予防も全部叶えたいのですが(もちろんほとんどの製品に、それなりにすべての効果はあるのでしょうけど…)、そんなことを考えながらドラッグストアに行くたびに今までに使ったことがない製品を買ってしまったりするのです。そんなわけで今は日ごとに朝晩とその時の気分で使い分けています(笑)。今のマイフェイバリットはズバリ! 「エナメル質の修復促進」と「虫歯予防」。写真左奥のいちばん大きなチューブの「クリニカ」(いちばん大きいが値段はいちばん安いっ!しかも10%増量っ!)です。
歯が黄ばむ原因は、主に喫煙、コーヒー、紅茶、ワインなどのステインですが、黄ばむのとは別に「黄色く見える」原因はご存じですか? そう、歯の表面のエナメル質が薄くなって、その下にある象牙質が透けて見えるという状態です。つまり肝心のエナメルがしっかりしていないと歯は白く見えないようなのです。数ヶ月前に同世代の友人何人かと久しぶりに会う機会があったのですが、その時気になったのは顔のシワよりも歯のくすみでした。歯がきれいでないと老けて見える! ということにあらためて気づいたのです。 歯の健康は、身体のためにももちろん大切なことですが、見た目の若さにも相当影響を与えていることを再認識させられた出来事でした。
見た目のきれいさはもちろん、昭和40年男の世代になると、歯茎の衰えや口臭など、気になることがたくさん増えてきます。ぜひ、次のお休みには自分に合った「歯磨き粉」を探しに出かけてみてはいかがですか? 結構楽しいですよ! 日々の歯磨きを怠らずに、歯の残存数「80歳で20本」を目指しましょう!