広島からうれしい包みが届いた。書かれたメッセージのごとく遅ればせながらになってしまうが、広島東洋カープファンの皆さん、三連覇おめでとうございます。セ・リーグでは巨人以外にリーグ三連覇のチームはおらず、市民球団の快挙である。
ガキの頃からタイガース一筋で応援していたのだが、もうずいぶん前のことになる、心が離れていった。たくさんの理由がありその一つひとつにトラキチは冷めていったのだ。同時に僕はプロ野球そのものへの興味を失った。これはこれでラクなもので、タイガースが勝った翌日にスポーツ新聞を買わなくていい。さらにはその記事をストックしなくて済む。負けて機嫌が悪くなったり血圧が高くなることもなくなり、快適な日々が訪れた (笑) 。
トラキチ時代で思い出すのは、新庄・亀山らの活躍と、投げては仲田が大黒柱としてドシッといて、中込・湯舟らもピリッとしていて後ろは田村が締めるという、久しぶりに強かった1992年のタイガースだ。優勝を逃すことになった10月10日のヤクルト戦を仲間とのキャンプ先で聞いていた。応援に力が入り呑みすぎてしまい、さらに試合終了後はやけ酒が続き大ケガをした。腕が一生動かないとまで言われたほどだった。と、そんなトラキチだった。
僕は現在カープファンだ。きっかけは『昭和40年男』(vol.29) で、昭和50年のカープの初優勝の記事を作った時のことだった。僕は残念ながら同行できなかったが、その取材現場での模様を聞き、記事を見て心が動いたのだ。取材相手は古葉監督で、都内の小さな喫茶店がその舞台だった。初優勝を語りながら、原爆に苦しんだ市民たちとの野球を通じての戦いを振り返って涙したそうだ。取材に居合わせた3人も同様だったそうで、その報告を聞いた僕も涙した。その日以来、カープの動きが気になるようになり、徐々にプロ野球熱を取り戻した。
そして決定づけたのは、このTシャツの送り主の広島っこの加藤さん、カトちゃんである。彼との付き合いは「福岡博多秘密基地」から始まった。そしてカープが久しぶりの優勝を決めた一昨年、CSシリーズで日本シリーズ進出を決めた日に偶然ながら初めて広島で呑んだ。僕のわがままで急な誘いだったにもかかわらず、カトちゃんは仲間を集めてくれた。そして勝利の美酒に酔いながら、皆さんからカープと市民の関係を聞き、市民でもなんでもない僕ながらカープ愛がよりいっそう深まったのだった。
このTシャツはカープがリーグ優勝を決めてビールかけで着用したもののレプリカだ。カトちゃんは去年も送ってくれたが、まさかのCSシリーズ敗退で僕は着ることがなかった。今年は日本シリーズでこいつを着て応援したい。カトちゃんや彼を通じて得た友たちのカープ愛と、よそ者をあたたかく受け入れてくれたやさしさを噛み締めながら応援するその日が楽しみである。