諸々、健康診断の数値が気になる昭和40年男にとっては「糖」は「油」と並んで、悪者のイメージがある食品成分のひとつではないでしょうか。油は精製されていない良質のものなら、逆に身体にとって必要なものであるというのは以前書かせていただいたことがあります。最近ではだんだんと認識されつつありますが、糖に関してはどうでしょう? 果たして単純に悪者扱いをしてしまっていいのでしょうか? 実際、糖質(ブドウ糖)は脳のエネルギー源と言われていて、極端な糖質制限は危険だという説もあるので、今日はそんな「糖」についてお話ししてみようと思います。
オリゴ糖のよさを知っているなら「甜菜糖」がおすすめ!
いわゆる「砂糖」と言われるものにも実にさまざまな種類があって、いちばんなじみがあるのは「上白糖」「グラニュー糖」などの白い砂糖。「三温糖」「きび糖」「黒糖」など茶色がかったものも最近ではスーパーなどでもよく見かけるようになりましたが、そんななかで「てんさい糖」というのを目にしたことはありませんか? 「甜菜」…あまりなじみがないかもしれませんが、「ビート」と言えばちょっと懐かしい響きに聞こえる人もいるのでは? 社会科で習った農作物名のひとつです。そのビートの砂糖用の品種が甜菜。もう少しわかりやすく言うと、砂糖大根、糖分を多く含んだ根菜のようなものです。「根菜のような」と言ったのは、実は甜菜は大根のようだが大根ではなくホウレンソウの仲間で、もともとは葉の方を食用としていた野菜だったからです。この甜菜糖、サトウキビと並んで砂糖の原料となり、日本での生産は100%北海道! 寒さに強い作物で、その昔栽培を推進したのが、かのクラーク博士だと言われていて、1800年代にはすでに製糖工場ができていたという歴史をもっています。かつて北海道出身の友人に「甜菜糖って知ってる?お腹にいいんだって」と、今思えばアホ丸出しなことを聞いたことがあった私(笑)。北海道では、砂糖といえば甜菜糖というのが当たり前なのだそうで、隣県(海を隔てた青森)出身なのに、東京に出て来るまで甜菜糖を知らなかったまぬけな私です(^-^;
さて、この甜菜糖にはミネラルや天然のオリゴ糖などが含まれており、糖尿病の人などにもよいと言われています。普通の上白糖などと違って、糖類のなかでも多糖類という、いくつもの単糖類が繋がってできている甜菜糖は時間をかけて吸収されるため、血糖値の上昇が緩やかになるのだとか。血糖値の上昇・下降が緩やかだと満腹感が持続するので、食べ過ぎを防ぐこともできるということなので、ダイエットにも取り入れると効果的かもしれません。オリゴ糖はご存じの方もいらっしゃると思いますが、ビフィズス菌のエサとも言われていて、腸内のビフィズス菌を育てたいなら、積極的に取りたい成分のひとつなのです。これでお腹の調子もよくなれば一石二鳥ということですね!
ちなみに、我が家には上白糖(グラニュー糖も)はありません。私用の甜菜糖と連れ合い用の有機サトウキビから作られたオーガニックシュガーが常備されています。上白糖と比べると多少割高ですが、そんなにがばがばと使うものではないので、油同様に良質のものがおすすめ。では、なぜ甜菜糖オンリーではないのか? それにはひとつ理由がありまして、いわゆる「大根(のような植物)由来」のため、それっぽい味が多少感じる人は感じる場合があるようです(私は全然気になりませんが)。コーヒーなど、繊細な香りを大事にしたい飲み物などにはやや向かないと言えるかもしれません。まぁ、個人差があるので、私のように大丈夫な人もいれば、普通のグラニュー糖にはない独特の味に違和感を覚える人も少なからずいるとは思いますが、前述のように白い砂糖とは糖の吸収の仕組みが違うので、その効果を感じたいという人はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
「よい」と言えば、「悪い」という意見もでてくるのが世の常で、この甜菜糖も一部では「農薬を使っているから危険」などとも言われているようです。甜菜という作物の栽培が無農薬では難しいからということがその理由。まぁ、いずれにしてもそれほど大量に摂取するものではありませんし、糖分にはかわりありませんので、大量摂取すればカロリーオーバーで肥満のもとにもなりますから、適量を心がけて食生活に有効的に取り入れてみてはいかがでしょう? 疲れた時に「甘いもの」が食べたくなるというのも、身体が必要としている証拠。やはり、人間の身体にとって必要な糖分を「悪者」にしない方法で、うまく摂取するようにこころがけてみません?