『ウルトラQ』の江戸川由利子、『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員を演じた元祖ウルトラヒロイン・桜井浩子さんによる初の自伝『ヒロコ ウルトラの女神誕生物語』が、本日7月15日より小学館から発売される。
桜井さんといえば、弊誌第5号(2010年12月発売)にてインタビューに応じていただき、『ウルトラQ』『ウルトラマン』の制作当時の裏話や、“特撮の神様”円谷英二氏をはじめ当時の特撮マンたちが作品にかけた思いなどを熱く、かつ気さくに語っていただいた。今も円谷プロのコーディネーターとして“ウルトラ文化”の普及に努める、文字通り“ウルトラの女神”だ。
その彼女が書いたのは、貧しかった少女時代から子供モデルなどを経て映画女優となり、やがてウルトラの現場に咲き誇る一輪の花(別にマンモスフラワーじゃないよ)となっていくまでの半生を綴った成長実録だ。ウルトラの撮影秘話だけでなく、まだ二十歳前後だった当人が過酷な現場で率直に抱いた感情や、多忙の余り恋もしそびれた苦い思い出など、かなりプライベートな部分にまで踏み込んだ内容となっている。桜井さんは以前、ウルトラ初期作品の制作秘話を綴った著書『ウルトラマン青春記』を出しているが、「ここまで赤裸々に語ったのは今回が初めて」(本人談)。
桜井さんの本格女優デビューは昭和36年。クレージーキャッツの無責任シリーズや加山雄三の若大将シリーズが始まったころだ。当時の映画制作の現場や、我々昭和40年男がこの世に生を受ける少し前の“貧しくもよき時代”の空気感が、駆け出し女優の視点から語られている。その世界観はドラマ『ゲゲゲの女房』にも通じるところがあり、我々世代にも響くものがある。
桜井さんは「失敗話もたくさん書いてあります。でもそれでもへこたれなかった。そんな姿が今の世の中に元気を送るメッセージになれば」と語ってくれた。
<編集部員・足立>
特撮・アニメ・懐ドラなどに造詣の深い本誌編集部員。実は元鉄オタで鉄道にもめっぽう詳しい。