たかが冷やしたぬき、されど冷やしたぬき。

仕事で知らない街に出かけて昼時と重なれば、探すのはそば屋だ。街にひっそりと佇むような、昭和なそば屋が大好きだ。玄関にはホンダのカブが置いてあり、植木があり、ショーケースにはホコリをかぶったサンプルがあるとなおいい。カレーとか中華そばとかもラインナップされていて、暖簾をくぐればおばちゃんの元気な声が響き渡る。これだけで幸せだから、そばの味なんてどうでもよい(笑)。いやいや、これだけ揃っていて美味けりゃそれこそ至福である。つい先日はまさしく至福を味わったのである。

 

この季節は、冷やしたぬきの世話になることが圧倒的に増える。冬もたぬきそばをちょくちょくオーダーする僕だから、どんだけ揚げ玉好きなんだって我ながら突っ込みたくなる。そばだしに溶け込んだあげ玉のコクがたまらない。天ぷらそばは高いしね。庶民は断然たぬきなのさっ。

 

写真の通り、ここの冷やしたぬきはちょっとだけ変わっていた。そばの上にあげ玉が乗り、その上にご覧のようにトッピングされるのだ。海苔と紅生姜はあまりお目にかかったことがなく、特に紅生姜は若干ながら抵抗があった。おそらく、僕の冷やしたぬき経験にないトッピングだった。

 

こちらが、現時点で僕がベスト冷やしたぬきの称号を与えている一杯だ。上に比べると丁寧に盛り付けられてるでしょ。キュウリが細くて、錦糸卵も高級感がある。そして、決め手は甘辛く炊いた干し椎茸で、これがじつに合う。薬味にはネギと大葉が添えられていて、夏の涼しさを演出してくれるのだ。僕が愛する浜松町の蕎麦屋、布屋更科の冷やしたぬきで、850円はちとお高いが月曜と雨の日の大盛り無料サービスを使うとグーンとコスパが上がる気分だ。おもしろいのは、貿易センタービル店は880円でつゆがぷっかけなこと。浜松町に2店ある布屋更科は微妙な差異があり、僕はそれさえも楽しむほど通っている。浜松町に来たら、ぜひ両店のはしごを楽しんでみるといい。

 

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