現在発売中の本誌vol.50の連載特集「夢、あふれていた俺たちの時代」のなかで、昭和52年「アメリカ横断ウルトラクイズ」(日本テレビ系)第1回開催の再検証をお届けしたが、同番組以外でも1970~90年代は多くのクイズ番組が人気を博していた。視聴者参加型というスタイルがうけ、「クイズ番組常連さん」もいて、「この人、たしか他の番組にも出てなかったっけ?」と思うような参加者もいた。
そんな常連さんのなかでも、今回ご紹介する長戸勇人さんは81年に「アップダウンクイズ・高校生大会」での優勝を皮切りに、さまざまなクイズ番組に挑戦し続けた、まさにクイズ王と呼ぶにふさわしいタメ年男なのだ! 当時きっとあなたもテレビで観ていたに違いない。
昭和40年7月29日生まれ、京都市出身の長戸少年が、本格的にクイズに取り組み始めたのは1979年、当時14歳だった。その後、前述の「アップダウンクイズ・高校生大会」の優勝に始まり、「クイズ ミスターロンリー」、「パネルクイズアタック25」、そして「第13回アメリカ横断ウルトラクイズ」と80年代には数々のクイズ番組に出ては優勝を飾り、賞金・賞品をもののみごとにかっさらっていった。
今でこそ気軽に行けるようになったが、80年代当時、特に学生にとってはまだ高嶺の花だった海外旅行も、グアム、ハワイ、パリ・ニース、オーストラリアとその「知力」で次々と手に入れていったのである。
「アメリカ横断ウルトラクイズ」は毎回ユニークな優勝賞品が「オチ」になっていたが、長戸さんが優勝した時の賞品は「肉体冷凍保存権」というなんだかよくわからないものだった(笑)。死後、自分の身体を冷凍保存してくれるというもののようだが、彼ほどの頭脳の持ち主なら、その保存価値は十分にあるかもしれない! そう考えると、冗談のようだが結構マジメな賞品だったのかと今さらながら納得するのであった。本人が冷凍保存を希望しているかどうかは定かではないが…
クイズ好きが高じて「本業」に
こうして数多くのクイズ番組で活躍した長戸さんは、90年代に入るといつしかその経歴を買われ、テレビなどにレギュラー出演するようになり、2000年代に入ると、出題者として起用されたり、クイズとは関係のないグルメレポーターまで務めたりとまるでタレントのような時代もあったようだ。その後もクイズ番組や、ゲームセンターやスマホなどのゲームのクイズなども数多く作っている。現在もクイズ作家として活躍中で、その活躍の場は多岐にわたっている。
クイズを作ることが本業となり、自身はいわゆる回答者としての現役・第一線から退くも、クイズの楽しさを広めるべく、今は「伝道師」としても積極的に講演などを行っている長戸さん。14歳から始まったクイズ人生は、まもなく53歳になる今も確実にライフワークとして彼を支えているようだ。「好き」を仕事にできるなんて、これほどうらやましいことはない! もちろんいくら好きなこととはいえ、人知れず苦労やプレッシャーはあったのだろうが、充実した人生であることは彼のこの笑顔が物語っていると言えよう。
「知力、体力、時の運!」まさに「アメリカ横断ウルトラクイズ」のキャッチフレーズどおり、ただ頭がいいだけでは、君臨できないクイズ王。これからも、「伝道師」としてその楽しさを多くの人に伝えていってほしいものだ。タメ年・クイズ王の今後のさらなる活躍に期待がふくらむ!
長戸勇人さんの活動詳細は下記にて!
長戸さんのクイズ番組経歴や活動の詳細は長戸勇人オフィシャルホームページをご覧いただきたい。また、日本初のクイズ専門店「QUIZ ROOM SODALITE」では、イベントやレッスンの開催も紹介されているので、クイズ好きの方はぜひ参加してみてはいかがだろうか。