浜松町にオフィスを移転したのが2007年だから、ずいぶんの月日が経過したことになる。が、以前いた赤坂に比べるとまだまだよそ者な気がするのは、馴染みの飲食店をあまり開拓できていないせいだろう。バーにいたっちゃ一軒も知らない。
そんなよそ者に優しいのが貿易センタービルだ。昭和45年に完成したビルで、竣工時は日本一の高さを誇ったビルだ。東京タワーとセットで高いもの自慢な街ですな。このビルの地下飲食街には、古くから入っていると思われる昭和な店がいくつかあり、おっさんを喜ばせてくれる。同世代諸氏にはきっとグッとくるだろうから、いくつかご紹介しよう。
まずは以前にもここでご紹介した、“モツル”なるビールを飲ませるイタリアンレストランがある。内装はほぼ昭和な茶店で、粋なおばちゃんがテキパキと働いている『風車』だ。パスタもピザもきちんとうまく、一品料理も充実していてイタリア居酒屋だと思っていただければいい。昼間から夜まで開きっぱなしだから、土曜日の昼下がりに一杯なんてきっと至福である。もうひとつ、浜松町が誇る老舗蕎麦屋の『布屋更科』の貿易センタービル店もいいぞ。ここのおばちゃんたちもチャッキチャキで、羽田空港利用の旅人たちを楽しませてくれるトークが見事だ。ここも昼飲みには最適だろう。もう一軒は不思議な店で、本格的なインドカレーをラインナップする純和風(!?)居酒屋『摂津』だ。焼き鳥はエスニックなのも普通のも楽しめる。ここもランチとディナータイムの間に休憩なしなんで、いつも昼間から始めている方々で賑わっている。うらやましい限りで、いつかこの3つを昼間にはしごしたいなんてのが僕のささやかな夢だ。
と、この夢を早く叶えなければならない。このビルは2020年に解体になることが決まっているからだ。写真は現在の貿易センターの南側で、未来のツインタワー南館である。長いこと工事をしているがまだこんな状況で、竣工予定は2021年となっている。現在の場所のビルは2025年に竣工予定でツインタワーが完成するそうだ。還暦の年だな。きっと今入っている昭和な店は撤退となるだろうから、小さな夢を実現するタイムリミットは残りわずかだ。昭和を愛する同世代諸氏よ、昭和な貿易センタービルを楽しんでみてはいかがだろう。