先日、読者の方からとても興味深い素敵な情報をいただいた。しかもよくよく聞いてみたら、その「素敵」を作った人は昭和40年男だというから、まさにこれは「タメ年の大活躍」じゃないか! ということで、投稿してくれた小池さんのレポートをお楽しみください!
横浜に現れた「世界初」の快挙?
「横浜元町にハイセンスなコンテナビルが建ったらしいよ」という噂を耳にした時に「コンテナって、まさかあの貨物用コンテナでかよっ!?」と思わず叫んでしまったものの、どうにも気になって小雨の中をバイクで物見遊山気分で向かってみました。港湾都市・横浜にはコンテナっていかにも似合いそうな気がしたのです。
通称、クラフトマンシップ・ストリートと呼ばれる一角の「元町仲通り」に面した場所に、それは際立った存在感を発揮していました。コンテナ特有の凸凹した特徴はどことなくレトロさを感じさせてくれるのかも知れませんが、それでいて漆黒で塗られたシックな装いと、現代的なデザインが見事に融合していて、これが東京の青山や原宿・表参道等の一等地にファッションビルとして建っていたとしても違和感のない都会的で先鋭的なセンスなのです。 しかもコンテナと重量鉄骨造を組み合わせたコンテナビルは国内初どころか世界初の快挙です。これはある意味では「発明」です。 使われているコンテナは一見すると貨物コンテナそのものですが、実は有限会社LIFIX代表取締役・引地 努(52)さんが開発したコンテナハウスブランド『IRON HOUSE TETSUYA』の〔建築用コンテナUNIT〕を用いた作品だったのです。
従来の先入観では「コンテナハウスって夏は暑くて、冬は寒いんじゃないの」とか思われがちですが、同社の製品は特殊断熱材や内装、外壁塗料に工夫をこらし、年間を通して快適な住環境を提供でき、しかも建築基準法に正面から挑んでクリアーすることで本格的な二階建て住宅建設を2015年から全国展開してきたそうです。 そして満を持して挑んだのが7月7日にOPENした5階建てコンテナビル「ル・ノアール横濱元町」だったのです。既にエステサロンやカフェ、ギャラリーが入居していました。ちょっとお邪魔してみたのですが、室内は想像していた反響音もなく静かで快適そのもので少々驚きました。
昭和40年男・引地社長の努力とこだわり
引地さんは埠頭に並ぶコンテナ群の姿に触発されて、20余年を費やして、ここまで漕ぎつけたそうですが、ご自身も東日本大震災で福島県内で被災され、家が倒壊という経験をお持ちです。そこから強度的にも災害にも強い安心できる住宅というものを強く意識されたようです。 彼はまた生粋のオートバイ愛好家としての顔をお持ちでもありますから、その大人の遊び心や不屈さが現在の形を生んだとも言えます。 とにかく“諦めない男”とお見受けしました。ここに至るまで積み重ねたであろうさまざまな困難の過程さえも楽しむ心を持っていたはずです。コンテナで世界や建築を変えたいと真剣に考えて、その実現に向けてライディングしている印象を受けました。
現在、欧米ではコンテナハウスが注目されています。2022年のサッカーW杯では開催地カタールに巨大なコンテナ・スタジアムが登場すると思われます。既に学生寮やブティックホテル、ショッピングモールにもコンテナが活用されてもいます。国際的な外観コンペも開催されデザイン性でも競い合うなど、海外では一般的な建築物としてコンテナハウスが浸透しています。 国内でも宮城県女川町の「多層コンテナ仮設住宅」や、地震で被災されたイオンモール熊本の仮設店舗「コンテナモール」の例は皆さんの記憶にも新しいことと思われます。 移設も可能なら、工期も短縮できますし、再利用可能という意味ではエコな存在としても高く評価されています。驚くべきことにハイテクな「コンテナ農場」としての利活用も始まっています。コンテナの持つ可能性は発想と工夫次第で無限大かもしれませんよね。
「秘密基地」的なたたずまいに心ひかれる
最近、シンプルで無駄のない暮らし「タイニーハウス」(スモールハウス)ブームもよく耳にします。昭和40年男を含む世のお父さん族にとってコンテナって書斎や趣味の空間にも手軽に活用できますし、「秘密基地」っぽくて思わずワクワクしちゃいますよね。 『IRON HOUSE TETSUYA』では、東京・八王子市内にもモデルハウスを兼ねた「コンテナカフェ」を営業中なんだそうです。無骨な鉄の質感のカフェと愛車の絡む風景って「インスタ映え」しそうな気もして、今度の休日にでも遊びに行ってみたいと企んでいます。何事も「百聞は一見にしかず」ですからね。
どうやら僕までコンテナ・フェチになりそうです。 詳しいことは同社のサイトをご覧になってみて下さい。 【投稿者:小池延幸(59歳) 東京都・自営業】
ワンランク上のコンテナハウス IRON HOUSE TETSUYA
「Le Noir(ル・ノワール)横濱元町」
住所: 横浜市中区元町1丁目38-2
【アクセス】
*横浜高速鉄道みなとみらい線 元町・中華街駅 徒歩3分
*JR根岸線 石川町駅 徒歩10分