とっても贅沢な分、計り知れない満足度、
それに高揚感が得られるフェリーツアー

北海道への旅は昭和40年男にとっての憧れだ。大自然と異国情緒にあふれる北の大地は、大の大人をワクワクさせてくれる。しかも時間を惜しまずにフェリーで行くとなると、憧れを越えて夢のような出来事へと格上げされる。海外旅行ほど敷居が高くないので、まさに実現可能な夢だと言える。

もはや北海道旅行にクルマは必需品。広大な大地を駆け抜けるのに、日頃乗り慣れている愛車が使えるのはとてもありがたい。道中の疲労度が確実に軽減されるので足取りが軽くなり、一層北海道が満喫できる。

オススメのプランは仙台港と苫小牧港を毎日運航している、太平洋フェリーでの船旅だ。どうせならフェリーにもこだわろう。イチ押しなのが30年の歴史を誇る「きたかみ」だ。昭和の香りが残っている船で、なんとも味わい深い。最新型とはひと味違う風情があって、違いのわかる昭和40年男にはぴったりだ。

30年前から活躍しているということは、「きたかみ」を使って北海道を新婚旅行した昭和40年男だっているだろう。そんな貴方は思い出に浸れるラストチャンスだ。残念ながら「きたかみ」の航海は2019年の1月まで。最後と聞くと新婚旅行に行っていなくとも俄然、乗船したくなるのが人情ではないか。

仙台港からの出港は午後7時40分。お昼に到着すれば仙台周辺も存分に散策できる。名物の牛タンで昼食をとって、戦国大名の独眼竜・伊達政宗像と記念写真を撮って、お城から「杜の都」を一望しても、まだ十分に時間がある。日本三景の一つである松島にも足を伸ばせるほどだ。

仙台城跡からは、東北一の都市と美しい自然が調和した景色が一望できる。まさに「杜の都」だ

仙台周辺の観光スポット

仙台城跡

青葉城の通称で親しまれる仙台城。その城内にある仙台のシンボルとも言える伊達政宗の騎馬像は見逃せない。本物の城好きならば石垣に想いを馳せるのも一興

宮城縣護國神社

仙台市内を一望したならば、仙台城の本丸跡に明治37年に創建された護國神社に参拝だ。昭和14年に内務大臣指定護国神社となる。御朱印が旅に深みを与える

伊達の牛たん

仙台まで来たらやっぱり牛タン。伊達の牛たん本舗、青葉城内にある青葉城店。お昼はここで決まりだ。定番の牛たん定食以外にも牛たんシチュー定食や、牛たんカレーなどがある

日本三景 松島

仙台城から松島までは高速道路を使えば1時間もかからずに到着できる。大小260の島々からなる景観は風情たっぷり。ちなみに松島から仙台港までは約30分だ

五大堂

1604年に伊達政宗が造営した、東北地方最古の桃山建築。平安時代中期に製作された秘仏は33年に一度開帳される。堂へは縦板2枚が特徴のすかし橋で渡る

瑞巌寺

平成20年から始まった大修理と震災で被害を受けた参道の復旧工事が終了したばかりで見応えは満点。独特の厳かな雰囲気は一見の価値あり

松島さかな市場

市場らしからぬモダンなデザインの建物が特徴的。産地直送の海産物、それに珍味などがそろっている。食事処もあり、焼き物コーナーのカキは外せない

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憧れのフェリーへいざ乗船

乗船の手続きは出港の90分前までに済ませておこう。つまり遅くとも午後6時にはフェリーターミナルにたどり着けるように行動だ。発券カウンターへは、忘れずに車検証を持参すること。車両の料金が決まる車長を確認するために必要なのだ。うっかり忘れてしまうとクルマまで取りに戻らなければいけないので注意するべし。クルマでの乗船はドライバーひとりが原則。同乗者は歩いて乗船だ。航海中にはクルマに近づけないので、必要な荷物は確実に下ろしておこう。クルマの乗船は混み具合によって乗り入れに要する時間が大きく変化するので、あらかじめ船内での待ち合わせ場所を決めておくと安心だ。

「きたかみ」の仙台から苫小牧への出航は1日おきだ。料金は日によってA、B、Cの3つの期間に分かれて異なる。予約受付は2ヶ月前から
5m未満のクルマは26,300円~。この料金で運転者1名は2等船室が利用できる。さらに上の船室を利用する場合は差額が必要になる

いよいよ「きたかみ」に足を踏み入れる。まずは重厚なエントランスホールに圧倒させられるはずだ。全体の作り込みがとってもモダンで、ちまたで流行っている純喫茶を思わせる温もりを感じる。このほっとさせられる第一印象が大切だと思う。これから15時間も過ごす空間だから相性は無視できない。昭和40年男にとってはストライクゾーンのど真ん中ではないか。

エントランスホール

船内に入って行くとまずは圧巻のシャンデリアが目に飛び込んでくる。広々としたエントランスはとても開放的でリラックスさせられる

フェリー『きたかみ』客室・船内施設

特等洋室

窓の外を見なければ船の中だとは気づかないほど快適だ。衛星放送のテレビまで備わっているので退屈はしない。19,100円~

1等洋室

2段ベッドでスペースを効率よく活用している。シャワーとトイレが付いた、必要にして十分な空間だ。15,000円~

1等和洋室

2段ベッドふたつに和室が加わり、布団が敷ける。シャワーとトイレも付く。多人数に適したレイアウトだ。15,000円~

A寝台

作りはまるでカプセルホテルのようだ。衛星放送テレビも付く。意外と子供に人気がある。10,300円~

B寝台

とてもシンプルながらプライバシーは守られる。ちなみに2段ベッドの上と下は同じ料金だ。9,300円~

2等和室

バイクの旅にもぴったり。貴重品は貴重品ボックス、手荷物はコインロッカーに預けよう

インフォメーション

不明点は気兼ねなくインフォメーションに尋ねよう。わからないまま行動してトラブルを起こすことは避けたい。快適な船旅を楽しむための基本だ

展望通路

船内はどこも余裕のある作りで風格がある。通路でさえも質感の高いソファーが置かれていて、飲み物を片手に大海原をゆったりした気分で眺めながら至福のひと時が過ごせてしまう

展望室

「きたかみ」ならではの楽しみが展望室からの眺望だ。まさにデッキの先端、操舵室の真下にある特等席だ

オープンスカイホール

一度は甲板へと繰り出そう。四方を海に囲まれたシチュエーションはめったには味わえない。地上とは明らかに違う潮風はとても勇ましい

展望大浴場

手足が伸ばせてゆっくりとくつろげる大浴場は眺めも上々だ。ジャグジーはもちろん、サウナ室まで完備されている

ミニシアター

上映は午後9時30分からと午前8時30分からの2回。寝る前と起きてからの時間を持て余し気味な時には映画に尽きる

ラウンジ「スターダスト」

ラウンジショーは毎晩さまざまなジャンルのアーティストが出演する。入場は無料で、誰でも自由に楽しむことができる

カードルーム

マージャンは2,000円、将棋、囲碁、オセロは500円でレンタル可能。マージャンのみカードルームの利用ができる。喫煙可能だからゲームがより白熱する

ゲームコーナー

小・中学生の頃、こっそり通ったゲームセンターを思い出すはずだ。遊びだとわかっていてもいつのまにか本気になる

「きたかみ」がもうすぐ生まれ変わる

2019年1月25日からの就航を予定している、新「きたかみ」は全長192.5mで全幅27m、乗用車積載数146台、トラック積載数166台は、今までの「きたかみ」とほぼ同じだ。旅客定員は701人から535人へと減少。その反面、個室数は58室から189室へと大幅に増え、大部屋を廃止。船内は星空を旅する「スペーストラベル」をコンセプトにデザインされる予定。

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北の大地、北海道を楽しむ

苫小牧には午前11時に到着。今回は1泊2日の旅路なので道南を漫遊する。初日は登別の地獄谷、洞爺湖、長万部などを経由して函館へと向かう。愛車にはナビが付いているだろうが、紙の地図を用意すると何かと便利だ。立ち寄りたい場所がマーキングできるし、所要時間を計算する場合にも活躍する。しかし、スケールバーを確認しておかないと地図上では近くに思えた場所同士が、実は意外に遠くて大あわて、になってしまうから注意だ。北海道が想像以上にでっかいことを実感する。

精悍な雰囲気が昭和40年男をその気にさせる今回の旅の相棒ヴェゼル。広大な北海道ではアイポイントが高く、とても運転しやすい。メーターが緑から赤に変わるスポーツモードの活用で、余裕ある追い越しが可能

翌日は江差、ニセコを通って小樽を目指す。ほとんど高速道路が使えないので時間が読みにくい。ガソリンスタンドも多くはないので早めの給油が鉄則だ。小樽からは札樽自動車道から道央自動車道に乗り継ぎ、一気に苫小牧港へと走って行く。

自分のクルマが使えるフェリーの旅はつい欲張り過ぎてしまうが、その分、達成感は格別だ。

苫小牧周辺観光スポット

小樽運河

海面を埋め立てているので湾曲しているのが特徴だ。昭和61年に現在の姿にリニューアル

小樽三角市場

小樽でお腹が空いたら小樽駅の横にある三角市場を目指そう。おいしいものが目白押しだ

ニセコ名水・甘露水

ニセコの山裾にある昭和天皇が命名された由緒正しい湧き水。空のペットボトルは必需品

ミール展示館

苫小牧では宇宙ステーション「ミール」に触れられる。本物ならではの迫力は刺激的だ

苫小牧港

フェリー埠頭のそばには漁港があり、ホッキカレーが人気の食堂には行列ができる

のぼりべつクマ牧場

大迫力で強そうなエゾヒグマたちを間近で観察できる。ヒグマ博物館も併設している

地獄谷・大湯沼自然探勝路

登別温泉の源泉である地獄谷では自然の凄まじさを実感。温泉が流れ込む大湯沼川では足湯が楽しめる

洞爺湖

周辺が国立公園に指定されている景勝地だ。湖の中心にある中島にはエゾシカが多数生息している

かにめし

昭和25年から販売されている長万部の名物「かにめし弁当」。長万部の駅前の「かなや本店」で購入できる

長万部公園

ドライブやツーリングの休憩場所として最適な森の中にある総合公園。キャンプ場が備わるほど広い

開陽丸記念館

開陽丸は江戸末期にオランダで作られた軍艦だ。明治元年に江差沖で沈没したものを復元している

かもめ島

ニシン漁で有名な江差港に隣接する陸続きの島。真上から見るとカモメが羽を広げたような形が特徴

五勝手屋本舗

明治から続く味をずっと守り続けている北海道が誇る銘菓。レトロな包装紙に包まれた丸缶羊羹が有名

いにしえ街道

明治初期にヒノキ材とニシン漁で栄えた江差町。当時の歴史的建造物を活かしている街道で、風情あるお店が立ち並ぶ

五稜郭タワー

五稜郭が見下ろせる高さ98mの展望台。昭和39年創業した初代に変わって、平成18年から開業している

旧函館区公会堂

明治時代に建設されたコロニアルスタイルの西洋館で昭和26年に復元。現在はコンサートなども行われる

八幡坂

港に係留展示された青函連絡船記念館摩周丸を正面に望める絶景の坂道。街路樹と石畳も素晴らしい

元町公園

港を見下ろせる高台の公園。周辺にはルネッサンス風の洋館や古いレンガ作りの建物がある

函館山

度肝を抜かれるスケールの夜景が楽しめる。夕暮れ時は混雑必至。遅めに行くのがオススメ

あかちょうん

函館の居酒屋は地元の人たちが営んでいるところが多くとても良心的。イカそうめんが有名だがウニも絶品

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