最新号がやってくる 〜ロッド・スチュワートを返せ!!

まもなく発売の最新号を小出しにご紹介している。今回の巻頭特集は『昭和洋楽』をテーマに、4つの要素に分けて展開した。それぞれは、時間旅行・心に残る・大研究・事件簿とした。トップを飾ったのは時間旅行で、昨日もこのブログで解説した通り『昭和洋楽』とは昭和50年の『サタデー・ナイト』が起点になっていると編集部では定義した。当然ながら時間旅行のコーナーもここから始まる。

10ページを使って、昭和50〜64年のシーンを俯瞰している。1ページに2年分を詰め込んだり、本来であれば2ページ取りたいところをグッとこらえて1ページで1年にしたりと、担当はさぞ多くの涙を流しながら10ページに押し込んだだろう。そしてこの2ページこそが、もっとも多くの涙が流れたのではなかろうか。

 

シーンが過熱して、豊かな才能が惜しみなく注ぎ込まれ、莫大な資金も投入されて音楽が“作られて”いった。かつてのミュージシャンたちが、自らの叫びを核にして音へと込めていったのに対して、才能と才能が寄り添って作り込んでいく音楽が増えた。これも『昭和洋楽』の特色のひとつだ。超弩級の新人を発掘して、敏腕プロデューサーが曲や世界観を練り上げて、秀逸なスタジオミュージシャンが集められ特上のサウンドが完成する。なんてのが完全定着して、チャートの中心に座った昭和54〜55年だ。

 

さらにおもしろいのが、ベテランたちが寄り添ってくることだ。ロッド・スチュワートはポップシンガーになってしまい、それでも大ヒットを飛ばした『アイム・セクシー』なんてやっちゃったし、キッスもディスコミュージックを取り入れた『ラビン・ユー・ベイビー』で攻勢に出た。これらの、シーンに寄り添った大物たちのヒットもまさしく『昭和洋楽』と呼びたい。硬派なロックバンド、フェイセズて聞かせたブルース魂あふれる歌は、しゃがれ声のお尻フリフリのアイドルになっちまった。音楽マーケットの肥大化が生んだベテランたちの悲哀とも感じたロック野郎たちをよそ目に、女の子たちは武道館を埋め尽くしたのだった。ああ、恐るべし『昭和洋楽』!!

 

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