次号の連載特集『夢、あふれていた俺たちの時代』では、昭和46年を取り上げる。みなさん、ほとんど記憶などないでしょう。だって早生まれの人で小学校1年生になった年で、4月以降生まれだとまだ学校に上がる前の年なのだから。うーん、ちょっとキツイかなと思う所もあるものの、ここに決定したのはなんてったって、仮面ライダーがこの年にデビューしたからだ。さらにもう1つのヒーローシリーズであるウルトラマンは、新マンこと『帰ってきたウルトラマン』の年で、リアルタイムで見た方も多いでしょう。この2人(!?)が主役となるならば、やらねばならぬ。
もうひとつ、特集内で大きく取り上げたのが駄菓子だ。よく食べたなあ。先日の『浅草秘密基地』では大試食会を開いた。全体に色が薄くなっているというのが、みんな共通の感想である。着色料がガンガン使われていた俺たちの時代は、菓子たちは実にカラフルだった。赤、青、緑に黄色って、口が染まるから親にばれるんだよね。「あんた、すもも食べてきたでしょう」ってね。
記憶の味は上がっていってしまうそうだ。前にラーメン屋さんの話を読んだことがある。一度食べたお客さんが次に来たときに、前回よりレベルをあげておかないと味が落ちたと言われるから、毎日少しずつ改良を加えているという。僕たちにとって駄菓子はまさに想い出の味であり、どれもこれも記憶の中で輝いていた。みんな口々に「もっと味が濃かったよな」と繰り返す。実際“ふ菓子”なんかはあきらかに薄くなっているだろうけど、想い出が美化している部分も大きいのだろうな。少々がっかり気味だった面々だった。
それでも話には大きな花が咲いた。この日はなかったが、イカものはみんな思い入れが強い。甘い駄菓子の中にあって、なぜか大好きだった。そもそもあれは子供向けに開発されたのだろうか? 酢イカのように棒に刺さっているものもあったが、たいがい袋の中にごっそり入っていて、手を突っ込んで取り出すという、今考えると不衛生極まりないものであった。当時の子供たちに不衛生などという概念はなかったのだ。
この日の『浅草秘密基地』では、昭和40年男の嗜好の背景には、駄菓子屋が強くあることを導き出した。こぢんまりとした、1人でやっているような居酒屋が好きなのは、あの日駄菓子屋に通ったダンディズムであるのではないだろうか。おーっ、これは学会に発表すべきだ。駄菓子屋はそこにたむろして、次々にやってくる仲間との社交場であり、婆さんはママさんであったのだ。少ない小遣いをむしり取るものの、魅惑の菓子を供するママさんの存在は、僕たちに男の人生の侘しさを教えてくれた。そんな場所を幼少の頃から持っていたのが昭和40年男であり、どうりでチェーン展開の居酒屋が嫌いなわけだとオチをつけたのだった。
そんな(どんな?)充実の内容となっている次号の『夢、あふれていた俺たちの時代』を掲載予定の8月号は7月11日発売で、まもなく〆切です(汗)。
個人的には「帰りマン」より3カ月先に始まった「宇宙猿人ゴリ」で2ページやりたかったぜよしぇんしぇい(仁最終回の余韻ぜよ)。