白昼堂々と抱き合う男同士。左は不肖北村でござる。では僕の求愛をこれ以上ない笑顔で受け止めた右の男は誰? なんだかんだと20年以上、カワサキと契約を継続してきたライダー柳川 明さんである。愛の舞台は一昨日「カワサキコーヒーブレイクミーティング」を開催した、大分県のサーキット「SPA直入」だ。
今年の契約は、カワサキでコーチ兼テストライダーとしてで、去年までのライダー契約がついに途切れた。6つ年下の彼は現役にこだわり引退を拒み続け、今年はプライベーターの「阪神ライディングスクール」の監督兼ライダーとして走る場所を確保した。夏のビッグレース「鈴鹿8耐」で走る予定だ。ともかく引退の文字が嫌いな彼を、僕はヤナさんと呼んで付き合わせてもらっている。一昨年まではチームグリーンのライダーとして8耐にも参戦してきた。電撃復帰の2015年から2位にまで上り詰めた2017年までの3年間は、大黒柱となってチームを牽引した。カワサキが世界グランプリに復活して参戦した時もヤナさんが乗り、カワサキファンを興奮させたのだった。
惜しまない努力を重ねてきた。加齢による減衰に突っ張るように、激しいトレーニングを欠かさなかったからこその長年の契約であり、活躍だった。転倒が多く、体はサイボーグ状態でどこをどうケガしたかすべてを思い出せないほどらしい。大腿骨が骨盤を粉砕してつき破るなんてものすごい話を、笑いながら「痛いなんてもんじゃないんですよ」と言い放つ。聞いていてこっちが痛くなるような話が次々に出てくるのだが、悲壮感は全くなくこの写真の笑顔のまんまのキャラクターだ。
これまで取材を何度もさせてもらってきた。今回のようなイベントでのトークショーも数え切れないほどで、何の打ち合わせもなくぽんとしゃべれる間柄にまでなっている。そしてうれしいのが、そんなすごいライダーが僕らのイベントに “遊び” に来てくれることだ。今回は娘さんとタンデムで参加者のごとく来場して、帰りも多くのライダーたちを見送っている僕に「北村さ〜ん」と声をかけて、手を振って走り去っていった。ナイスガイである。
今年の8耐は「阪神ライディングスクール」で、ストッククラスの優勝を狙っている。改造ありの総合トップに隠れてしまいがちだが、ほとんど市販状態での8時間も是非注目してほしい。そして優勝を祝ってこうして抱き合いたいものである。
今年の夏も楽しみですね!
頑張っている姿を見るだけで元気をもらいます。
楽しみですね。元気になりに鈴鹿に行きましょう。