4月に亡くなった、元プロ野球選手で「鉄人」と言われ愛された衣笠祥雄の現役時代の活躍を、切り絵手法で描いた伝記が6月25日に小学館から発売された。
「限りなく野球を愛した男──フルスイングが彼のすべてだった」江夏 豊
数々の名勝負を見せてくれた衣笠祥雄の、少年時代からユニフォームを脱ぐまで23年にわたる現役生活のかがやける道のりを、絵本にっぽん賞受賞作家が、独特の切り絵の手法で描いた傑作だ。けがにもスランプにも負けずに、連続試合出場の世界記録をうちたて、国民栄誉賞を受賞。「江夏の21球」の場面での盟友江夏 豊氏とのやりとり、巨人の西本から受けたデッドボールで骨折した翌日も代打で出場し、豪快なフルスイングで3球三振をした場面、絶不調のスランプのとき家族ででかけた海水浴、画面いっぱいに描かれるシーンはどれも感動にあふれるシーンばかりだ。衣笠祥雄と著者の心温まる交流エピソードも収録されているというから、往年の「鉄人ファン」にはぜひとも手にとってほしい一冊だ。
『鉄人衣笠』(小学館刊)
文・絵/関屋敏隆
定価:1,400円(+税)
2018年6月25日発売
A4判上製54ページ
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衣笠祥雄(きぬがささちお)/1947年1月18日京都府生まれ。1965年平安高校から、広島カープ(現・広島東洋カープ)に入団。23年間の現役生活で、2,677試合出場、9,404打数2,543安打、504本塁打、1,448打点、161死球、1,587三振、通算打率.270。打点王1回、ベストナイン3回、ゴールデングラブ賞3回、盗塁王1回、最優秀選手1回。オールスターゲーム出場13回。1987年6月13日、大リーグのルー・ゲーリックの記録を破り、2,131試合連続出場世界記録(当時)を達成。6月22日、国⺠栄誉賞を受賞。同年、連続出場記録を2,215試合までのばして引退。その後、野球解説者、講演など多方面で活躍。1996年野球殿堂入り。2018年4月23日永眠。享年71歳。
関屋敏隆(せきやとしたか)/1944年岡山県生まれ。京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)工芸家染織専攻卒業。大学生のころからサイクリングによる野宿を楽しみながら日本中をスケッチしてまわる。絵本作品に、『中岡はどこぜよ』(文・田島征彦、くもん出版ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞特別推薦)、『馬のゴン太旅日記』(小学館絵本にっぽん賞)、『オホーツクに生きる彦市じいさんの話』(文・戶川文、ポプラ社産経児童出版文化賞美術賞、ブラティスラヴァ世界絵本原画展ビエンナーレ金のりんご賞、ベオグラード国際イラストレーション・ビエンナーレ・グランプリ受賞)、『やまとゆきはら白瀬南極探検隊』『北加伊道・松浦武四郎のエゾ地探検』など多数。