この時期の電車内には、女性の脱毛と痩身に関する広告がこれでもかと並ぶ。薄着になる季節だし、水着になる日も迫ってきたのだから、美容業界としては当然の需要期ということになる。最近では男性向けの広告もスタンダードになりつつある。男だってきれいになりたいのだ。が、おっさんになると着る物を含めて人からの見え方に気を使うのが億劫になりがちである。磨いたところで寄る年波にはかなわないなんてやさぐれたりする日も少なくない。そんな時に思い出し、戒める気分にさせられる言葉がある。このブログでも何度かネタにしている、毒蝮三太夫さんのインタビューによって引き出した名ゼリフだ。「誰だって歳とりゃ、小汚くなるよ。だからまずは外見に気を使うのが大事」「歳をとると、自分がどう見られるかってことに無頓着になる」との説教だ。
50歳の誕生日記念プロジェクトとして、高校時代の体重にリセットするというチャレンジを敢行した。なんとか、ほぼクリアできたのだがその後少しずつ増え続ける体重だ。痛かったのは、昼飯を抜くことで随分と成果が上がったのに副産物で血糖値が上がっちまって、封印を余儀なくされてしまったこと。昼抜きは慣れるとダイエット効果だけでなく恩恵ばかりで、特に午後の集中力を保てるのは大きかった。加えて当然ながら昼飯代が浮くのだ。やってみると周囲にも結構2食派の方がいて、血糖値に問題はないとのこと。体質なのだろう。
51歳、52歳と誕生日を迎えた時の体重は少しずつ増加している。運動不足も否めずこの夏ビキニは着れないだろう(笑)。それでも薄着を強いられるのだから意識はする。夜中のラーメンをすすらないことはもちろん、ご飯の大盛りやセットメニューなんてもってのほかだ。そう思いながらいつものそば屋へと行く。向かう道では、もりかかけ、せいぜいきつねにしようと誓い、僕は鉄の意思で暖簾をくぐるのだ。そんな僕におばちゃんは「いつもどうもね、今日どうするの? カレー? 天丼?」と聞くじゃないか。双方セットメニューであることは冒頭の写真で言うまでもないだろう。「うーん、今日はカレーかな」
意思が鉄でできていたらと思う瞬間だ。そして僕は自分を心の中で慰める。「お前が悪いんじゃない、おばちゃんの誘惑がいかんのだ。さあ、こうなったら目一杯食うがよい」と。やれやれ、昨日の昼もおばちゃんに負けた僕で、そんな翌日そば屋には向かわないことがせめてもの抵抗である。