『アサヒカメラ』2018年 5月号 が4月20日に発売される。今月号では、あえて今の時代に向けて、モノクロ写真を怒涛の98ページで大特集という、とても興味深い内容となっている。
最近のギラギラに加工された、いわゆるインスタ映えする写真に反旗を翻すというこの特集。モノクロだけでこのボリュームというのは、アサヒカメラ創刊以来92年の歴史で初という、「かっこいいモノクロ写真の極め方」にクローズアップした完全保存版だ。
今月号のアサヒカメラはたとえば、巻頭グラビアは林忠彦賞受賞者でモノクロのストリートスナップで世界をまたにかける中藤毅彦さんの新作。昨年のニッコールフォトコンテストで長岡賞 (最優秀賞) を受賞した成瀬亮さんが撮る富士山など、現代のモノクロ写真の最前線を垣間見ることができる。
さらに作品を眺めるだけではなく、「デジタルモノクロ表現テクニック講座」では、人気写真家がどういうカメラを使って、どんなロケをして、どういう色味の調整をしているのかを徹底解剖。プリンターの設定方法なども披露してくれるという。
また、今回の大特集に合わせて、椎名 誠さんはもちろんのこと、ベストセラー作家の相場英雄さんら連載陣もモノクロ写真に挑戦。先日、富士フイルムが白黒用のフィルムと印画紙の販売を終了するニュースが報じられましたが、デジタルカメラでも体験できる、味わい深いモノクロ写真の世界を堪能してほしい。写真好きの昭和40年男も、これを機会に「モノクロ」を極めてみてはいかだだろうか?
【編集後記より ~編集長の言葉~】
高血圧のため、「銀塩」ならぬ「減塩」生活を強いられています。それでもダシの利いた味にはホッとしますね。シンプルながらも奥深く、ごまかしが利かぬ味わい。
ん? これってモノクロ写真の魅力に似ていませんか?
SNSでは昨今、やけに彩度やコントラストが高い、ギラギラしたカラー写真をよく見かけますが、ありゃどうなんでしょうか? 撮影後の画像処理で仕上げた「絶景写真」なんて、いわば「電気仕掛けの塗り絵」。刺激の強い化学調味料たっぷりみたいなものだなと。
やはり僕は、光と影が織りなす美や粒状感という「ダシ」が利いた写真が好きです。