俳優として存在感のあるバイプレイヤーぶりを発揮している津田寛治は、昭和40年生まれのタメ年男である。
その活躍の場は、テレビ・映画・舞台と幅広く、今年は、『天地人』(2009年)、『花燃ゆ』(2015年)に続きNHKの大河ドラマにも出演。その『西郷どん』(NHKで放送中・毎週日曜日夜8:00~)では一橋慶喜を将軍に擁立しようと働きかける第16代越前福井藩主の松平慶永(まつだいらよしなが)を演じている。また、民放ではテレビ朝日系で2006年から続いている人気ドラマシリーズ『警視庁捜査一課9係』の最新作、『特捜9』(4月11日からテレビ朝日系列で放送中 ・毎週水曜日夜9:00~)で警部補・村瀬健吾役として、引き続き、頭の回転がよく、そつのないエリート刑事役を好演している。
俳優としての本格デビューは28歳と、決して早い方ではないが、その後は着実にキャリアを積みあげ、特撮ものから時代劇まで、幅広いジャンルでさまざまな役柄を演じることができるという貴重な俳優のひとりとなった。
俳優デビューのきっかけは、たまたまアルバイト先の喫茶店を訪れた北野 武に直接売り込んだことだというから、その行動力にも驚くが、津田を起用した北野監督の見る目もさすがというほかない。まさに運命的な出会いであったと言えるだろう。
その津田の今年イチオシ作品が、6月30日から全国公開される、映画『名前』(監督:戸田彬弘)だ。3月9~18日に開催された第13回大阪アジアン映画祭でクロージング作品として上映された話題作である。
直木賞作家の道尾秀介が、映画のために書き下ろしたオリジナル原案作品で主演を務めている。「仕事も家族も失い、偽名を使って人を欺きながら生きていた男」というミステリアスな役柄が津田のイメージにぴったりとはまる。その男が、「父親と生き別れた女子高生(ダブル主演:駒井 蓮)」との出会いを機に、“記憶から消していた過去”と向き合うさまを描くヒューマンストーリーだ。
タメ年男、津田寛治の魅力を存分に感じることができる作品に期待がふくらむと共に、今後の津田のさらなる活躍が楽しみだ!