不祥事やつまらないゴタゴタが絶えない大相撲だが、力士全員がダメなわけじゃない。若手が伸びてきているし中堅、ベテランにもそれぞれ奮闘する力士が多い。僕はなんてったって遠藤ファンで、彼の真っ正直な相撲が大好きだ。足の怪我がやっとよくなってきて今場所は小結にまで上がり、いよいよ時代の到来かと期待していたところ腕を痛めてしまった。休場してしっかりと治せばいいのに、2日休んだだけで土俵に戻ってきてしまい、その後3連敗である。万全でないのだろう。それでも土俵へと上り続ける姿は涙無くして語れない。
いやいや、栃ノ心の話だった。BSNHKで24時50分から相撲の録画放送がある。かつてもっと深い夜だったが、人気によるものなのかこの時間へと昇格したのはありがたい。そして昨夜は大興奮だった。1敗の白鵬とここまで全勝の栃ノ心の戦いで、25連敗中の栃ノ心の挑戦だった。「立会いの変化は絶対無しだぜ、白鵬さんよお」と祈りながら見つめた立会いは正々堂々のあっぱれなものだった。本来横綱が変わるなんてありえないのだから、このあっぱれは適切でないがそう思ってしまうことはなんともつらい。
ともかく昨日の力比べは、見ている方も力がこもる大一番だった。ああしてまともに組んで力負けた白鵬を僕は見たことがない。栃ノ心の怪力が勝ったのだ。優勝をグーンと引き寄せた昨日で、しかも一度も勝ったことがない相手に完璧な勝利なのだから、残りの三番を全勝優勝へと走ってほしい。
それにしてもなんでこんなに強くなったのだろう。優しい顔で負けている姿の方がしっくりきてしまう栃ノ心だ(失礼)。大ケガに泣かされての大復活を遂げたものの、上へ下へのエレベーター力士だった。小結・関脇あたりを最高位に平幕とを行ったり来たりの力士は多く、そこには高い高い2枚の壁があるのだ。今場所の栃ノ心は大関の壁どころか、すでに横綱への壁さえも飛び越えているように思えた。遅咲きの30歳を心より応援している。今場所のもう1つの山場は、明日の鶴竜戦だな。うーむ、今日より出張で放送が見られるかどうか。世紀の瞬間をなんとか見届けたい。って、録画だけどな(笑)。