今日は午後から次号特集の取材に出かける。「おめでとうございま〜す」でおなじみの海老一染之助さんに弟子入りなのだ。誌面展開としてはドタバタ修行記とする予定で、いつも幸せな気分を運んできてくれる芸を学ぶことから、伝統に培われた笑いの素晴らしさを感じとることができたらなと、現段階では欲張っている。
染之助さんといえば、傘を回したり刃物を使った様々な“芸”をする人としてとらえていたが、それらの芸は、太神楽という由緒正しき世界の発展形であると知ったのはこの取材が決まってからだ。伊勢参りが究極のレジャー(!?)であった時代に、伊勢や熱田から獅子頭を持った神官が出張し、巡回サービスが盛んになったのがそもそもの始まりで、太神楽とは地方の信者の参拝を代行するという意味の、“代”神楽からきているそうだ。染之助さんは、伊勢や熱田と並ぶ太神楽のビッグブランドである水戸太神楽を継承しながら、芸の世界に生きてきた。今回はその染之助さんにご教授願えるとのこと。光栄だ。
まるで一夜漬けであるが、深夜1人の部屋で染之助さんのビデオを見ながらビニール傘を回してみた。…これ無理っす。せめてフォームだけでもとがんばってみるものの絶望感ばかりが募る。うーむ、そもそも不器用な僕である。本日の企画が果たして誌面として成立するのか? これは後日のお楽しみということで、ともかく全力でトライしてきます。
現在、僕を含めた編集部員たちは、日々フル回転で取材に出かけている。ぬぁんと、小松の親分さんのインタビューも決まり、明日が取材日である。小学生時代の僕にとって、またみなさんもそうだろう、笑いの王道はドリフだった。そこに対抗馬として大きく君臨するのが、小松の親分さんこと小松政夫さんとベンジャミン伊東こと伊東四朗さんのコンビである。あー、行きたいよ〜。残念ながら僕はその裏で、再び被災地に入る。今号で掲載した『俺たちの責務』はしばらく連載として展開していくことにしたのだ。原発ばかりが問題として大きくクローズアップされているが、毎日死者が積み上がっていくのに無策になっている震災被災地を、昭和40年男の感覚でとらえて未来に残していきたいという思いである。最新号の取材で入った宮城県を定点観測レポートしてくる。加えてタメ年男たちの被災地での活躍をとらえる2本立てを軸に、ページをつくる。毎号何らかのカタチでできるだけ続けていこうと思う。そう、一定のメドなどという、ふざけきった言葉は現時点ではないのである。
笑いをテーマに特集をつくるかたわらで被災地に入る。これぞ雑誌ワールドである。僕が大好きな“雑”ではあるが、少々きつい日程だな。せめて中1日を入れたかったが仕方ない、今夜はうまくスイッチを切り替えながら過ごそうと思う。