昨日今日は会社のホワイトボードに“休”と書き込んだ。休みといってもこの時期に作業を止められるわけがなくパソコンを手放せないが、ともかく2日間会社には出ないことを決め込んだ。というのも。
ついにお袋の引越しを敢行したのである。昭和39年の嫁入り以来、荒川区民として下町のチャキチャキおばさんを演じてきた。かつては電気屋を営んでいたからご近所づきあいはうまい方で、それでいてへりくだるようなことがない明るいキャラだった。が、そんなご近所さんは荒川区からひとりまたひとりと出て行った。亡くなってしまった方も多くいて、親しい友は2人になっちまったとこぼし始めてもう数年が経つ。それでも離れないのは当然ながら理解でき、このまま我が家との同居はないかもしれないと思っていたところ、びっくりしたのは去年の大晦日である。年越しの電話を入れると「家を出されることになった」とのことだった。
4軒続きの長屋にはもうお袋しか住んでいなかった。親不孝だと思いながらも、親しい友人との時間はかけがいのないものだ。さらに家から電車で数駅のところで働いていたから、引っぺがすことはできないと静観してきた。まあ、元気なのだからよかろうとしていたが出されるのでは仕方がない。てなわけで、54年近い生活にピリオドを打ち、新しい人生をスタートさせることになった。
昨日の朝から弟夫婦と一緒に部屋を整え、終えたら今日は墓参りに出かける。彼岸のお参りに報告できるのは偶然にしてはよくできている。わが街に住んでくれることにはなったが同居は断られ、親不孝はまだまだ続く。狭い団地でなく、一緒に住みたくなるようなでっかい家だったら今日の墓参りは同居の報告だったかもしれない。情けない長男である。でもまだ諦めない。もっともっと努力して、胸を張って呼べるようになることを今日より目指す。今日の墓参りはその誓いだ。