「今号は狂気を感じました」
購入いただいたちょっと年上の友人より最新号の感想第一声だ。これは最高の誉め言葉である。そもそもこんな雑誌が存在することが狂気であり、創刊から数年はそれらしいことをあちこちで言われ続けた。最近では「あーっ、知ってます、知ってます」なんて声が混じるようになったのだから継続は力である。さらに彼の言葉は「すごい熱量」とも続けてくれた。これも最高にうれしい言葉で、この2つの言葉が組み合わさった雑誌でありたいと願っている。そしてこれは自分自身にも常に当てはめていたい。
特集の記事のひとつに、プラモデルメーカー・童友社の内田悦弘さんのインタビューがあるのだが、コメントの数々が泣けてくる。って、ここで書いちゃうとネタバレだから書店で確かめてください。俺たちがガキの頃、メーカーさんは本気で元気と夢を送り込んでくれたんだなとやはり泣けてくる。俺たちが元気でいられるのはこうした大人たちの熱量だったのだ。そして今回並んだプラモの数々を眺めていると狂気も感じる。『昭和40年男』は、狂気と熱量返しをしているのだな。
ひとつ驚いたことがあった。この童友社さんは実家から歩いてほんの数分のご近所なのだ。するってえともしかしたら、内田さんは鼻水たらした僕を眺めながら、こんなアホのために夢と元気の製品を作ってやろうなんて思った日があったかもしれないじゃないか。僕の行きつけの駄菓子屋も童友社さんのすぐそばで、直接卸ろしていたかもしれない。メンコも扱っていたそうなので、僕は間違いなく多くの製品を手にしたことだろう。
僕の人生に大きな影響を与えたメーカーということだ。そんな時空ロマンに浸りながら強い親近感を感じて何度も読み返してはそのたび感謝の気持ちになる。今月その実家を失うタイミングの中で発行ってのは、小さな奇跡と運命とまで感じてしまう昭和40年男だ。