チープ・トリックは武道館!!

世界へ武道館の名を轟かせたチープ・トリックがやってくる。しかもその武道館に40年の時を経てやってくる。当時の騒ぎをご存知でない方に、カンタンに解説させていただこう。

70年代、日本では世界に先駆けてロックスターを仕立てる素地が出来上がっていた。クイーン、ジャパンなんかも地元より先に日本で火がついたロックバンドだ。チープ・トリックも世界に先駆けて日本で火が付き初来日を果たした。当人たちもその人気の高さにびっくりしたそうで、そんな話はクイーンの初来日時からも伝わってくる。そんな現象を引き起こす核には音楽雑誌があり、とくに『ミュージックライフ』は絶大な力を持ち日本の洋楽シーンの最先端を走る雑誌だった。

と、そんな“日本”のスーパースターが初来日を果たしたのが40年前の春だ。福岡で迎えた初日が1978年の4月25日で、中学に上がったばかりの僕はまだ洋楽にはハマっておらず、『ミュージックライフ』なんて全く関係のないガキの頃だ。この来日公演の興奮をパッケージしたのが名盤『チープ・トリックat武道館』だった。これ以前のディープ・パープルの『ライブ・イン・ジャパン』のジャケットが武道館だが、アルバムタイトルに武道館と冠したのはなんとも大胆でよろしい。この傑作ライブアルバムはまるで逆輸入のようなカタチでアメリカで大ヒットした。世界のビックバンド、チープ・トリックへと押し上げた記念すべきアルバムであり、初来日公演だったのだ。同時に、武道館の名も世界へ知らしめた。

さて、話のメインはここから。ぬぁんと、40年前に初来日公演を行ったその日に来日公演をぶちかますことになった。しかも、武道館でだ。中1だった僕はもうすっかりだらしない中年だが、そのはるかに年上の面々が武道館で演る。なんだか壮大な時間の旅に感じる。そりゃー彼らだって人間だから見た目の経年変化はあるものの、現役バリバリのロッカーで、俺たちおっさんには手本にしたいうれしい存在だ。

さらにこの来日を記念してソニーからビッグプレゼントが届くことになった。これでもかっ!!という内容はさすがである。このアルバムに収録された全曲を武道館で再現するなんてサービスがあったら楽しいなと、くせ者ギタリストのリック・ニールセンに期待してしまう昭和40年男である。いや、そこまでのサービスは無理でも『チープ・トリックat武道館』の収録曲は全部やってくれますよね、リックさん(笑)。さあ、かつてのロック少年少女たちよ、立ち上がれ。

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