つい先日発売になり、友人たちから「買ったよ!」とのメッセージをいくつもいただき感謝感激な僕だ。連載企画の『夢、あふれていた俺たちの時代』をギュッと1冊にまとめて発行を続け、これにてひとまずピリオドを打った。
毎号お送りしているこの連載企画は、俺たちが幼少から大人の階段を登った時期の1年を切り取ってお届けしていて、1971年から1988年までの間を行ったり来たりしている。昭和40年男にとっては、わりとしっかり記憶が残っているかな~という年から、寄り道せずに大学まで行った諸氏は卒業して社会へと旅立った年までということだ。これがちょうど平成へと移り変わる前年の昭和63年だというのは、偶然では片付けたくない。
この本をめくっていると人生を左右するような選択や悩みが思い起こされる。将来の自分なんてまったく想像できずにもがいていた。情熱はあるものの空回りばかりでうまくいかない。就職した友人や高卒ですでに働き始めた友人との格差に焦っていた頃だ。本当に音楽でやっていけるのかと自問自答しながら、でもそれしかないとライブハウスで歌い続けた。そんな頃、大学を出て就職した直後の友人が僕のバイト先の居酒屋に来て「北村はいいよな、自由で」と言われた。これはきつかった。恥ずかしいやら悔しいやら複雑に受け止めた言葉だ。大手に就職した彼が若干ながらの優越感を持ち、またそれを満足させるためにこの言葉を吐いたことはバカな僕でもわかった。いいヤツでいい仲だったのに、こんな風に言われてしまうくらいのはぐれ者だったのだ。
高校時代は夢だけで音楽活動をしていたが、卒業してプロを目指すと現実に押しつぶされて1人また1人と去っていった。そうして夢を誓ったオリジナルメンバー6人のうち、僕以外全員いなくなってしまったのも今回発行したこの本の時期と重なる。そんなことを思い出しつつ、好景気のおもしろさや勢いが自分を後押ししてくれたなんてことに改めて感謝した。きっと皆さんにも深く深く突き刺さりますよ。この週末にどっぷりと昭和にひたってくれ。買いだね(笑)。
最初の会社を1年足らずでやめてしまい、フリーターとして平成を迎えました。いくつかバイトをした中で、あるバイト先の工場長が「君はこんなところでフラフラしている人間じゃないと思うよ」とおっしゃいました。滝田栄とエリッククラプトンを足して2で割ったようないい男(笑)でした。
現在の仕事が自分に合っているか未だ分からない自分ですが、あの工場長の言葉に支えられて今に至っているのは事実です。
人生を変えた工場長ですね。いい出会いに恵まれたのは、ご自身の力で引っ張ってきたとも言えますよね。