夜汽車にて自己陶酔するおっさん。

つい先日、最終の新幹線(汽車は微妙だが)で東京へと向かう機会があった。日曜日だから空いているだろうと自由席に乗り込んだら、案の定ほとんど客はいない。それでも電車は走るんだなあなんてつぶやきからナルシスト病が始まった。酒はハイボールでつまみはチーズだ。

夜汽車にまつわる歌は多い。僕がまずスッと出すのが、甲斐よしひろさんが歌った『最後の夜汽車』だ。物悲しい雰囲気が中坊の僕になにかを教えてくれた気がする。甲斐さんは『安奈』でも効果的に登場させていた。北へ向かう夜汽車をすすり泣かせるなんて、まさしく甲斐節ですな。この一節があることでこの歌に対する僕の評価はグーンと高まった。

長渕剛さんの曲でお気に入りの汽車ソングが『僕のギターにはいつもヘビーゲージ』だ。ここでは列車と歌っているが、僕は勝手に夜汽車だと思って聴いている。東北ツアーを終えて東京への帰りと設定されているから、前日にツアーの打ち上げを仙台でやって、朝方まで牛タン食って、遅めのチェックアウトで乗り込んだ電車だろうから昼間か、せいぜい寄り道して夕暮れ時のはずだ。すれ違う電車に子供がいるという設定も夜ではなさそうだが、ここは聞き手のわがままで夜汽車で楽しむ。すると、グーンと曲に哀愁が帯びるじゃないか。

と、そんな歌たちを口ずさみながら車窓を眺めている時間のなんと豊かなことよ。「今日もタフな1日だったぜ」なんてつぶやきながらハイボールをちびちび呑る。誰も見ちゃいないのになんとなくカッコつけているおっさんはなんともかわいいですな(笑)。

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