京成電車に揺られて。

先日、もうおそらく10年以上使っていない京成の町屋駅から電車に乗った。会社近くの駅の大門からの都営浅草線の乗り入れやスカイライナーなんかを使うことがあるが、僕にとっての京成電車と言えば町屋駅や新三河島駅から上野までの電車であり、先日は思い出の玉手箱が一気に開いたのだった。

ガキの頃はワクワクしながら町屋で乗り込むことが多かった。目的地は博物館動物園駅で、もうずいぶん前から使われていない駅だ。子供心にも渋さを感じ、暗さを感じ、哀愁を感じさせてくれる駅だった。この暗い駅と上野動物園のコントラストがなんともよかった。たっぷり遊んでまたこの暗い駅から電車に乗り込んで帰宅する。日曜日が終わっちまう、なんともさみしい気分にさせる駅だった。

高校時代よりはバイト先の上野の居酒屋へ通う電車として活躍した。マンガ雑誌を必ず広げながらの通勤で、17歳から20歳までの多感な頃の僕を運んでくれた。僕の実家は複数の駅がどれも遠いという立地だったから、気分や用事によっては千代田線や日比谷線、常磐線なんかも使ったが京成のやれた感じを好んだ。

バイトが終わって最終電車で町屋駅に着き、いろんなことを考えながら歩いた若き日々が懐かしい。毎日変わる風に吹かれながら前向きになったり悩んだり、楽しかったり落ち込んだり。ともかくいろんなことを考えては明日を信じていた。今もあまり変わらない自分がいるなと思うと笑えてきた、ある日の京成線乗車だった。

昭和の香りがする駅や車両はきっと同世代諸氏に響くことだろう。いい呑み屋がある駅が多いから、上野からのんびりと出かけてみてはいかがだろう。ちなみに、先日このブログでご紹介したセンスのいい呑み屋は町屋にあるぞ。

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