かつて7ブランド以上を愛読していたことがあるコミック誌野郎だったが、もう20年以上ひとつに絞り込んでいる。小学館が発行する『ビッグコミックオリジナル』オンリーだ。思えば生まれて初めて定期購読した雑誌が『小学1年生』だから、僕の人生において小学館さんはもっとも長い年月にわたり世話になっている出版社だ。
さてさて。『あぶさん』の連載が終了したのも記憶に新しいところで、ついにこの日がやってきてしまった。2つの長寿作品がこの雑誌の格をあげていた。いつもそこにあるといった安定感と絵、そしておっさん好みのストーリーは心をなごませてくれる大きな存在だった。それが3年前より肩輪になり、昨日発売号でその肩輪も昭和48年からの歴史にピリオドを打ったのである。8月発売の9/5号であと2話で終わることを公言した。その通りに昨日を迎えたようだが、僕は購入したもののまだそのページを開いていない。だから、ネタバレの書き込みはやめてくださいね。
発売日の昨日は、電車で『ビッグコミックオリジナル』を広げる僕よりいくつか歳上に見える方がいた。最近、都内の電車で雑誌を広げているのは僕くらいしかいなのではないかと疑うほど少数だが、さすが浮浪さんである。絶滅危惧種を見せてくれたのだから。
僕が愛した男の中の男の両横綱がこの浮浪さんと、啖呵を切らなくなって久しい寅さんだ。「粋な姉ちゃん立ちションベン」と決める東の横綱に対して、その向こうでひらりひらりと浮浪さんがいた。もしあなたにとっての男をテーマに世代別アンケートを取ったとしたら、僕ら世代はこの2人を両横綱にあげるだろうか。絶対的な2人でない気はするが、そこそこの支持は集めるのではないか。上の世代に行けば支持は上がり、下になるとその逆になるはずで、40代未満には「はーっ?」てな感じだろう。
現代には、そして未来の日本にも寅さんと浮浪さんのような男は生まれないかもしれない。こんな男は通用しない時代だ。僕にとっての両横綱は、昭和をキラキラ(ひらひら)と駆け抜け平成もなんとか踏ん張ってきた。だがもうお役御免である。おっさんには寂しいが、いい男のあり方はいつも時代とともに変化する。これは仕方ないことだ。僕は2人の男を胸に刻みこんで僕を生きていきたい。
そういえば渡哲也さん主演で、テレビドラマもありましたね、日曜夜8時から。
そうなんですよね。僕は残念ながら見てないんですよ。これを機に再放送してくれませんかねえ。