左右非対称の靴で君は歩くか?

朝、仕事に行く玄関でその異変に気がついた。前日の夕方、打ち合わせに遅れそうになり慌てて出た時にこうして履いてしまったのだ。会社の机の足元には、いつでもスーツに着替えられるように右が置いてある。左が前日カジュアルで出社した際の靴だ。「うんうん、かなり慌てていた」と、この事態を飲み込むのにそう時間はかからなかった。さてここからだ。普通に考えればこのチグハグな靴でなく異なる靴を履いて出かけ、このダメなセットは袋にでも詰めて持って行く。が、そうすると帰りに余った一足を持ってこなくてはならない。この日もどっちゃりと打ち合わせが詰まっていてそれは極めて邪魔だ。そこで僕は…。

このチグハグを履いた。おーっ、なんと勇気のある男だろう。そう思わないか? 「昨日の移動や打ち合わせで入ったお洒落なカフェだってこれでやり過ごしたんだから、出社の小1時間なんてやり過ごせ」と僕の心が叫び「えいやっ」と履き玄関を出た。

昨日は全く気にならなかったのに、駅までの道がえらく遠く感じるほど気になる。人の目が下を向いていると恥ずかしい気持ちになる。やっと駅に着いてもみんなが僕の足元を見ている気がする。電車の中でも浜松町から会社までの道のりもずっとだ。会社に着いて脱いだ時の解放感たらなかった。

人間てこんなもんだな。気にすればどこまでも気にする。そして一休さんのセリフを思い出した僕だ。「気にしない気にしない。一休み一休み」は、なんて人の心を救う言葉だろうと。が、この靴の出社でそうつぶやきながら気にせず歩ける奴はかなりの大物だろう。いや、小物ながらこのセットを履いて出社した僕もわりとすごいのではなかろうか。どうですかねえ?

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4件のコメント

  1. 先日、出勤前妻から「ごめん」の一言。共働きの多忙さでパンツ(下着)を全て洗濯中。
    仕方ないのでノーパン(死後)で電車出勤。コンビニで新品をゲット、トイレで履くまで緊張のひと時でした。誰にも分からないはずですがね。

    家に帰ってパンツを見た妻。「何そのダサいデザイン」、って…オイ!

    • まこぱぱさん、楽しいコメントをありがとうございます。
      いい奥様ですね(笑)。

  2. 一生のうちでしかも安売りの店で自分の足にピッタリの靴を見つけた時は予備や色違いも買ってしまいます。
    ちなみに浅草のユニバーなんとかと言う店ですが
    僕も一回、茶と黒で出掛けたことがあります。
    駅の手前で戻りました。恥ずかしいより年のせいにしました。
    靴だけでなく今日格好ダサいなと思っていてもパートナーと一緒のときはわりと平気ですが、独りの時の恥ずかしい気持ちは何でなんでしょう?

    • DJOGIさん、ありがとうございます。
      茶と黒は僕も以前やったことあります。今回よりもっと強い違和感を放っていました。
      ダサいを恥ずかしいと思う気持ち、互いに大事にしましょうね。

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