昭和のカレーを見つけて苦しむキレンジャー!!

灯台下暗しとはこんなことを言うのだろう。会社からほど近いところにある商店街に中華の店が多く、ちょくちょく使っていた。が、少し奥の方にそば屋があったのを見逃していたのだ。朝顔のツルが伸びた昭和な店構えで、僕のハートを鷲掴みだ。迷わずイン。

メニューを見ると小躍りする気分。カレー、カツ丼、親子丼とそばのセットがあり、そばがミニでためきとかけが50円違いでラインナップされている。速攻で決まった。21世紀のキレンジャーを名乗る僕は当然「カレーとミニたぬきのセットをください」とおばちゃんに伝えた。

「先にカレーね」と届いたカレーの見た目は、ど真ん中ストレートに昭和のカレーだ。瞬間的に思い出したのが、我が幼少の家カレーである。土曜がカレー曜日で半ドンの学校から帰っていい香りがすればガッツポーズだ。お袋から「横分け?」と男たち3人にクエスチョンが飛ぶ。我が家で横分けという呼び方をしていたのはご飯とルーを半々に盛ることで、リクエストしなければこのように上からドバッとかけて出てくる。小さな頃はそんな問いもなくカレーといえばこのスタイルだったのが少しずつハイカラになっていき、この横分けが僕ら兄弟の常識になっていった。親父は永遠にかけるスタイルの昭和を貫いていて、ウスターソースや醤油をかけるテクニシャン(!?)で、僕もたまに真似たりした。

と、そんなタイムスリップを楽しんでいるとミニたぬきが出てきた。なるほど、カレーが先に出てくるはずだ。たぬきそばはツユに火をかけてネギに火を通す。このひと手間でグーンとうまくなるのだが、やっているところは少ない。しかもここはミニでそれを貫いているのがうれしいじゃないか。

カレーは見た目のままに、お味も昭和のそば屋のまんまである。「これだよこれっ」と唸りながら、うまいたぬきとともに完食した。そして我想う。うまいのにまずい、絶対にまずい。それでなくともいつも行くそば屋でもカレーセットなのに、甲乙つけがたい店を見つけてしまったのである。一軒の誘惑でさえしばしばつかまるのに、倍となった誘惑に21世紀のキレンジャーは毎日のように勝負を強いられる。ダイエットに黄色信号で、まさにキレンジャーである。チャンチャン。

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2件のコメント

    • いいでしょ。でも、極めて普通なんですよ。僕の好みはそこにあるので一緒に行ったらがっかりするかもよ(笑)。

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