レコードショップのおもひで。

IMG_5413静岡県浜松で見かけたレコードショップだ。昔は大きめな街にはこんな店が必ずあった。今や見かけることが珍しくなってしまったが、どっこい浅草や上野にも演歌に特化して踏ん張っているショップがあるし、上野では僕が高校時代より世話になっている蓄晃堂が健在だ。今もこだわりのラインナップで迎え入れてくれる昭和ショップだから、タイムスリップ好きは出かけてみてはいかがだろう。

レコードショップの独特なにおいが好きだった。本屋も同じでなんともワクワクする。それは店に入った瞬間から始まる知的な冒険時間への期待と相まっているのだろう。レコードショップでジャケットを見ながら、帯に書かれた短いコピーを読み込む。当然ながら潤沢な予算なんかない。だからこそ慎重な検討を繰り返す場所であり、購入に至る確率は極めて低かった。書店も同じく立ち読みに比較的寛大な店で検討を繰り返していた。

小学生低学年の頃よりレコードショップは大好きな空間になった。晩酌を終えた親父が「いくか?」と歩いて10分ほどの大きめの街『町屋』に連れて行ってくれる。残念ながら今は無くなってしまったが、遅くまで営業している店だった。ここで親父がクラシックの盤を物色している横でアニメソングのジャケットを眺めるのが好きだった。ほぼ買ってくれないが、ちょいと飲み過ぎてしまった日に極々稀なビックボーナスが舞い降りる。「1枚買ってやる」と言われ、散々悩んで『スペクトルマン』のドーナツ盤を買った記憶が鮮明に蘇る。

今やポチっとやる。それどころか音楽パッケージが消えつつある。それ自体は便利で身近で素晴らしいことだが、ショップでジャケットを眺めるといった無駄な時間の中に潜む、大切なことを知らない現代に不安と不満があるおっさんだ。バイクで走る、ギターを弾いて音楽を奏でる、紙で情報を発信する。僕が生きている時間や世界は、現代と真逆の場所で無駄ばかりを垂れ流しているとも取れる。いやいや、そこには真実があふれているんだぞと胸を張り説教を繰り返すおっさんだ。ふっふっふ、堂々とね!!

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