出張中だ。バイク雑誌の創刊に携わったのが1994年で、以来西への出張が頻繁になった。18歳の時に『青春18きっぷ』を使って訪ねた西の地は遠く、降り立ったいくかの駅では感動にあふれていた。今も変わらず新幹線に乗り込むと高揚感が得られて、仕事とはいえワクワクしてしまうバカ者だ。
乗り込む前は駅弁コーナーに行く。昔に比べて工夫満載のメニューが並んでいて悩ましい。とくに、肉系の弁当は豪華なものからガッツリ系のコスパ炸裂の物まで実に豊富だ。ただ残念ながらおっさんはそっちにいかずこんなものに手を出す。昨日もアレコレ散々悩んでこの深川めしに行きついた。いつも悩むくせにこいつがほぼ定番と言ってよく、穴子と川魚の佃煮が乗ったまるで爺さん好みの弁当である。おにぎりをひとつ付けてしまうのはダイエットを忘れてしまったようだ。
弁当の向こう側にはこれもおっさんの定番『週刊文春』がある。紙の世界の住人はしっかりと紙に投資するのを怠らず、出張時には必ず数冊の雑誌を買い込んで眺めるのだ。
列車が走り出すまで弁当には手をつけてはならない。走り出して街からある程度遠ざかったところで蓋を取る。いくつになっても、何度乗ってもこの瞬間はうれしく「いただきます」とほおばる。ビールがない寂しさには包まれるが…。腹が膨れて文春を読み込んでいると睡魔が襲ってきて数分の昼寝だ。シャッキっとしたらPCを取り出し資料を作ったり、こうしてブログを書いたり。そして休憩に文春を開いたりと思えば贅沢な時間である。普段と異なる時間の流れは、出張が好きな理由のひとつだ。
昨日より始まった西への旅は途中下車をひたすら繰り返し、打ち合わせをこなしていく。うんうん、なんかかっちょいいじゃないかと自分に酔いつつ、土地土地のうまいものを喰らう。出張が多い仕事でつくづく幸せ者である。だからこそ、20年以上前になる初めて仕事で新幹線に乗り込んだ緊張感だけは失わないよう、初心忘れるべからずで今日もしっかりと暴れている。ただ、ひとつだけ大きな変化は当時はきっと文春でなかったはずで、さらに弁当は肉系ガッツリにおにぎりは軽く2個セットただろう。ちょっぴり寂しいな。
最近駅の売店がコンビニになっていき
駅弁が普段のコンビニのコンビニ弁当に変わって
行く……
寂しいのか合理的なのか?
山陽本線の車内に持ち込んだうどんやティーパックの入った小さいポリエチレンの水筒が懐かしい…
車内に持ち込むうどんは知らないです。水筒は同じく懐かしいです。