出張先では安宿を取り、起きて半畳寝て一畳とちょっとだけキザを気取ってみる。経費節減目的もおおいにあるが、標準化したビジネスホテルにはない魅力が安宿にはある。先日泊まった宿では…。
喫煙には寛容でいたいと、個人的には常々思っている。が、もう四半世紀以上吸っていない僕だから、禁煙ルームでないとちょっとツライ。まっ、これも少しの時間が経てば慣れてくるのだから人間てのはすごいぜと、またちょっぴりのキザを気取って我慢するなんてのを繰り返すおっさんだ。
そんな安宿の中でも、ランクAクラスのバス・トイレ共同で、長期滞在の方がほとんどの宿でのこと。こんなすげートイレだった。いや、トイレがすげーわけじゃない。このホスピタリティ(!?)が素晴らしいじゃないか。昔、宇崎竜童さんがヒットさせて、我らが民生さんもカバーしている『スモーキン・ブギ』では、朝から晩までのうまいたばこのシチュエーションと言えばいいだろうか、早口言葉のごとく並べていた。目覚め、食後、授業をさぼって喫茶店なんてのがあり、クソしてという言葉も並ぶ。瞬間的にこの曲を思い出し、昔の居酒屋や茶店ではこうしてセッティングされている店をよく見かけたのを思い出した。これもひとつの昭和の原風景か。昨今、いやここ数十年ではまったく見ることがなかった。
なにかをきっかけに、不意にスイッチが入ったようにいろんな思い出が巡ることがある。少し前に『昭和40年男』で取り上げた昆虫採集セットなんかもまさにそうで、一生記憶の引き出しから引っ張り出すことがなかったはずの夏の思い出が溢れてきて、そりゃーすごい量だった。今回のこのトイレも、記憶の旅へと超特急で連れて行ってくれた。今ではまったくありえないが、昭和はトイレとタバコが密接な関係にあったのだ(笑)。思いがけずの時間旅行に連れて行ってくれ、「ありがとう、安宿」ってな気分だった。やはり安宿はいい!!
盆に帰省すると亡き父が使っていたガラスの灰皿がまだ応接間に飾ってありました。ひと昔前のサスペンスドラマでは凶器としての使用頻度はかなり高かったなあ、としばしノスタルジーに浸りました。
今帰省中ですか? 何だか絵が浮かんできます。